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2007年の音楽生活。
- 2007/12/31(Mon) -
今年1年を振り返ると、相変わらずたくさん音楽を聴いたけど、個人的には今年もいっぱい良いアルバムに出会ったなぁ、という感じです。不作知らずというか。あんまり変なハズレもそんなになかった。いつものように、そこに並んでるカードの中から、なるべく自分にとって良いカードを引いていくだけだった。まぁ、何も闇雲に探そうとしなくても、そういうのはいつも向こうのほうからやってくるしね。毎年、こういう時に思うのは、今も良い音楽時代だ、ということ。いつも良いものが溢れかえってる、と実感できてます。来年も自分の持ってくる音楽が色んな旅と体験をさせてくれて、心に良い栄養をもたらすものでありますよう・・・。

では、今年個人的に印象的だった20枚。(もう前みたく10枚にならないとこが悲しい・・・。/苦笑)

Devils & Angels - Melee
やっぱり今年のアルバムと言えば、これ。春くらいにお店の試聴機で聴いて、その瞬間に一気に全部持っていかれてしまって、それ以来の愛聴盤。秋になると、日本盤もリリースされて、ものすごく話題になりました。これが売れなきゃ、他何が売れるの?って感じだったので、とても売りやすいアイテムだったと思うけど。この人たちの良いところは、これでもかっていうほど歌を中心にした楽曲の聴きやすさだったり、鍵盤から流れるメロディやハーモニーの美しさだと思うんだけど、伝統的なポップミュージックに根付いた音楽であるだけに、ノスタルジックだったり、西海岸のバンドなだけに、場所柄独特な開放感だったり、甘酸っぱさが味わえるっていうのがまた良かったり。アルバムのリーダートラックとなってる「Built To Last」は名曲だし、個人的にオシなのはピアノ弾き語り的なバラード「She’s Gonna Find Me Here」。多分イーグルズの「Desperado」に並ぶくらいの名曲だと思う。最後の楽しいホール&オーツのカバーもグー。ここまでだと、次の作品が怖くなるくらい良い出来。

Bee Stings – BMX Bandits
キャリアのあるグラスゴーのバンドのアルバムで、これもメイレイに並ぶくらい良かった。1曲目の「Take Me To Heaven」から心を奪われてしまった。男女のボーカルが綺麗に絡み合って、独特の重厚さをカラフルに描き出していく。かといって、全然押し付けがましさを感じさせず、常に自然体のまま曲が進んでいく姿に、聴く側に不思議な安堵感を生み出していた。やはり、加入した女性ボーカルがここで大きな役割を果たしているというのは大きいと思う。彼女から聴こえる歌声は時にはまるで母性的ですら思え、そこにダグラスの力みのないボーカルが入ることによって、余裕のある大人のロマンチックなムードがポップソングで展開されることになる。こういうムードってほんとに憧れます。

Challengers – New Pornographers
AC・ニューマンを中心に、カナダ・バンクーバーの複数バンドの融合、大所帯バンドのアルバムなんだけど、これもすごく良かった。すごくクラシックで、ポップなんだけど、ひねくれてて、一筋縄でないとこが聴き甲斐がありつつ、大所帯ならではのわいわいと楽しい感じがよく表れてて、思わず顔がほころんでしまうような。特に「Myriad Harbour」や「Mutiny, I Promise You」みたいなファニーな雰囲気の曲は特に聴いてて楽しい。それから個人的に極めつけは「Unguided」。これも大所帯ならではのゴージャスな曲であると思うけど、1曲の中でいくつもサビを持ってるような曲で。ここでのドカドカしたドラムがまたすごく映えてて、この曲を聴くと、祝祭色の強いポリフォニック・スプリーの曲を聴くのと同様、気持ちが上がるんですよね。アルバムとしての完成度も高く、今年の最も印象的なアルバムの1枚。

Yoni - Ginger
今年のジンジャーは、このソロとワイルドハーツと、近年では最も成熟してたと思いますよ。特にこのソロは、ワイルドハーツではカバーしきれないジンジャーの幅広い部分だったり、彼の本質的な部分を上手く発揮してたと思うし、いちリスナーとしてはそこが面白くて、とても新鮮だった。こういうことが出来るのがやっぱソロの醍醐味だし、それが直後のバンドの方にも相乗効果を上げてたっていうのも全くもって興味深く、波に乗り出すとやっぱりこの人はタダモノではないんだなっていう感じで。もうすぐ次のソロアルバムも出るようです。どんな曲が入ってるのかわからないけど、1枚に21曲もするっていうから、まだまだ彼はその勢いを持続しているようです。

A Different Light – Sherwood
これもよく聴いたなぁ。単純に良い曲が多いんだもの。メロディとハーモニーがしっかりしたカリフォルニアバンドの良さがすごく出てるバンドで、もっと日本でも評価されてもいいバンドだと思うんだけど。これは2作目なんだけど、デビュー作に比べると、ずっと垢抜けた感じにもなってるし、メジャー感が出てて、とても聴きやすいし。・・・うーん、捨てがたい。

Teenager - The Thrills
はい、これが入る理由は簡単・・・好きだから。以上(笑)。スリルズの世界観はほんと大好き。海岸に行って、何となくずっと海を眺めてるように落ち着くし、癒される。しかもカラフルで、全体的に包み込むようで、ちょっと胸きゅんな感じで、エネルギーももらえるし。もう今回はジャケットが素敵。こういうのって若さゆえの特権だったり、その中に秘める危うさや不安定さだったりするんだけど、やっぱ正直な話、そういうのは今でも憧れるし、羨ましいと思う。今でも思い出しちゃうよ、好きな子にキスしちゃうあのドキドキ感。もういっちゃえー!みたいな・・・(きゃー!/笑)。

The Historical Conquests of Josh Ritter - Josh Ritter
アイダホのSSWで、これが5作目なんだけど、今回初めて彼の作品に触れました。これがなぜ今まで気付かなかったんだろうっていうくらい、すごく良いんです。そもそも畑はボブ・ディランとかその辺の人から影響を受けたフォークの方のようですが、アルバム内にはロック色もあり、基本的にメロディも歌が中心で親しみやすく、聴いていくうちにちょっとジョン・レノンっぽさも時々あるかもって思ったり。こういうポップで等身大なSSWものは基本的に弱いので、選ばれて当然かもって感じ。

Ripe – Ben Lee
この人のアルバムも身近なことを歌にした等身大ポップアルバムで、すごく好きなアルバム。良い曲ばっかりだし。この間書いたばっかりで、あんまりそれから書き足すこともないんだけど、こんなに良く出来た、万人受けするポップロックアルバムもないかもって感じ。

The Beautiful Lie - Ed Harcourt
これは去年のアルバムだけど、今年すごくハマったので、選びました。まさかあのサマーソニックで観た、好きだったパワーポップバンドのスナッグのメンバーが今ソロでこんなことをしてるとは思いもせず、ただただ驚くばかりなんですけど。でも、このアルバムの世界観はすごく素敵。クラシックな雰囲気で全体がすごく綺麗。ちょっとルーファス・ウェインライトなんかも思い出したりもするけど、もっとずっと英国的で、ゴージャスな中にも翳りがあって、その中で淡々と、時には感情的に心情を吐露していく感じが引き込まれていく感じで。良い映画のサウンドトラックを聴いてるようにも思える。

Fingers & Thumbs - Polly Paulusma
ミュージシャンとして、女性として、母として、苦悩や葛藤を描き、こんなに人間味溢れる作品に出会えたことにほんとに感動してしまう・・・そういう作品でした。一度は叩きのめされて、これまでのことが全部フイになってしまうほどの体験をしながらも、それでも自分の暗い心の中に深く潜って、時間をかけて向き合い、少しずつ洗い流していこうとする、その過程が綺麗にこのアルバムに封じ込まれています。個人的には人が生きていくことは、当然のように幸せなことや気分の良いことばかりではなく、むしろどうにもならない挫折やショック、または自分の中の醜くドロドロした部分だったり、コンプレックスとの戦いばかりだと思ってるんだけど、そういう中でこれを聴いて、同じ人間として共感し、1つ報われる感じがあるっていうのは、今年聞いたアルバムの中でも特にこれはものすごく印象的だったな、と。

I’m OK....You’re OK - Jason falkner
ジェイソンのほんとに久々の新作(8年ぶり!)は傑作でした。やっぱそもそもこの人のセンス自体が良いと思う。ロック的な視点で見ても、カッコイイと思うし、ポップ的視点で見ても、カラフルで卒のない感じで、それをコンパクトにまとめることの出来る非凡な人。しかも自分世界を明確に持ってる人で。ほんとはね、もっと作品がテンポ良く出るようになると、もっと良いんだけどなぁ(笑)。彼にはライブ会場で話すことが出来たけど、すごく気さくなお兄さんでした。

Heart Tuned To D.e.a.d. - The Switches
意外に話題にならなかったけど、全体的にポップで、ガンガン行く感じのノリの良いロック、ハーモニーの利いたパワーポップだし、これは結構良いと思ったんだけどなぁ。曲も良いしさ。これ聴くと、結構上がりますよ。・・・意外性が足りないのかな。こういうざっくりしたギターのバンドってちょっと今や亜流だから、その辺彼らにはちょっと損なのかも。

Costello Music - The Fratellis
アルバムのリリースは去年でしたが、これ、流行ましたね。アイディアの勝利です。聴いてて、楽しいし、上がるし、勝手に体が揺れだしちゃうし、音楽的にもこういう独特な感性は貴重。個性的ですよね。これだけ刺激的な曲をよく並べたもの。もうほんとサルのように聴いてました。「Creeping up the Backstairs」が一番好きです。

Even If It Kills Me - Motion City Soundtrack
気分の良いパワーポップ。このアルバムも良い曲が単純に多い。洗練されたポップメロディがハーモニーとともに気分良く並んでいく。何度聴いても飽きずに、嫌な気分にもならず、聴き続けていられる。この爽やかな音楽にしては、メンバーのルックスは結構ひょうきんなんだよね。うだつの上がらないルックスとでもいうか、その辺がエモ系バンドっぽいっていうか。この手のバンドにあまり美男子って見ないよね、リヴァース・クオモ以来(笑)。このアルバムジャケットもグー。

Puzzle - Biffy Clyro
これはまだ触れてないので、後で触れると思いますけど、ここ2、3ヶ月個人的にお気に入りのアルバムです。英国の3ピースバンドで、ナショナル・チャートでアルバムが2位にランクインした話題作。ちょっとフー・ファイターズっぽく、カッコイイです。ちょっと変わった曲展開でありながら、ポップで聴きやすい、それでギターロック。ロックファンなら、聴いておいて損はない。

Life In Cartoon Motion - Mika
友達からこれ良いよってメールが来て、ミカってどこの女の子?っていうふうに始まったこの人(笑)。で、聴いてみて、反則だろー!これ!って笑った、みたいな。でも、好きっていう(笑)。これ聴いたら、らりぱっぱーって感じで、みんな笑顔になっちゃうよね。まるで合わない人は合わないだろうけど。こういうポップミュージックは絶対必要だと思う。しかも、ただ単にやたらカラフルポップなのではなく、きちっと考え込まれて、練って作られてるから、ポップミュージックとして消費されつくされない耐性を備えてる。個人的に一番好きな曲が「My Interpretation」で、この曲聴くと気分が落ち着く。愛に満ち溢れてて、救われる気持ちになる。

Calling The World - Rooney
ルーニーの器用さと成熟を見た2枚目の作品。1枚目も好きだったから聴いてたけど、正直ここまでやるバンドだと思ってなかったので、ちょっと驚いた。このバンドは自分の中では、例えばファントム・プラネットみたいな立ち位置のバンドかなって思ってて、西海岸バンドにありがちな、かなりマイペースなバンドに思えて、そういう感じで行くのかなって思ってたから。でも、この作品の説得力を見たら、そんなのん気なタダモノではなかったのだな、というような(笑)。センスの良い、素敵なポップロックバンドに成長してました。

Everybody Else - Everybody Else
まさかこれがプッシュ・キングスの新バンドだったのは驚き。しかも、普通に全部シングルで切れるような曲しか収録していない凄まじいクオリティの高さに驚き。天才だ。甘口なポップロックファンで、これを持っていないなら、すぐ買いに行きなさい。以上。

Traffic And Weather - Fountains Of Wayne
まぁ、鉄板ですよね。これがコケるくらいだったら、他みんなコケる、っていうくらい。B面集出したら、CNNに「世の中に出回っている様々なバンドの公式リリース作品の95%よりも優れた作品」って言われてるんだから、オリジナルアルバムなんて・・・ねぇ?にしては、あんまりビッグヒットにはならないけど(苦笑)。

スカート - スネオヘアー
珍しく邦楽。たまには良いものです。意外にロックで、っていうか、ロックの人だとは思ってなかったので、聴いて驚いたのですけど(笑)。「ハチミツとクローバー」とか全然知らないけど、聴いてました。良い曲が揃ってます。最初はレンタルでしたが良かったので、わざわざ買いました。「やさしいうた」がほんとにやさしくて、ノスタルジックで好きです。優しい気持ちになります。スリルズの時の話じゃないけど、なんか青春って初々しくて、独特なエネルギーがあって、良いよね。あの頃抱えてた不安云々も含めて。
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普通なのが安心で良い。
- 2007/12/12(Wed) -
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Ripe - Ben Lee

オーストラリア・シドニー出身のSSWの新譜6枚目。プロデューサーはデイブ・マシュー・バンド、ジョン・メイヤー、ジェイソン・ムラーズ、ベン・フォールズ・ファイブなどの作品を手がけたジョン・アレイジア。

彼のミュージシャンとしてのキャリアはとても早く、15歳の時には彼のいたノイズ・アディクトというバンドがオーストラリアのインディペンデントレーベルとすでに契約をしていて、そこからリリースしていた作品は、ソニック・ユースのサーストン・ムーアやビースティ・ボーイズのマイクDらから賞賛を浴びていた。その勢いで、ビースティの所有するレーベルであったグランド・ロイヤルと契約してしまうのである。しかし、ベンのソロが成功に向かって走り出した時、バンドは解散。

彼のソロキャリアはまだバンドにいた16歳の時にスタートしていて、95年にデビューアルバムをリリース。本格的な成功となったのは、99年にリリースした3作目「Breathing Tornados」の時で、最初のシングルが当たって、アルバムも本国チャートで13位を記録、知名度を得た。また前作となる5作目の「Awake Is the New Sleep」では、2曲のトップ40シングルを送り込み、アルバムもオーストラリアチャート5位という最高位を記録、セールス的にもダブル・プラチナムに達した。そして、それを経ての今回の作品。

ベン・リーと言えば、今から4年前のベン・クウェラーやベン・フォールズとともに、ベンズという名のサイドプロジェクトが思い出されるんだけど、まだその音を聴いたことがなかったなぁ、そういえば。

前作に比べると、さらに大衆性を広げて、耳馴染みの良さを意識した良質なソロ楽曲を並べているという印象。老若男女問わず、軽い気持ちで聴けるポップソングばかり。それを物語るかのように、当たり前のように本国では11位にランクインしている。

これはすげーぜ!っていう、特別取り立てて何かっていうのもないんだけど、こういう風に安心して聴ける、時代云々無視の普遍性の高いポップソングだけを並べた楽曲集っていうのもなかなか狙ってもここまで綺麗に出来上がらないと思うんだけど、そういうのを普通に作っちゃってんだよね、この人は(笑)。全然毒っけもないし、まるで奇をてらっているわけでもなく、でもこれ、みんな聴いて、普通に良いアルバムだと思うもの。たぶん。普通に肩の力の抜けた良い曲ばかりが並んでいる。それ以上でも、それ以下でもなく。世間のミュージシャンたちはあれこれ試行錯誤して、リスナーを驚かせようと音楽を作ってるかもしれないけど、これはそういうものに対する返答もしようもない回答、というか。それが良いのか、悪いのか、っていうのは、その人の好みによるとこが大きいとは思うけど。最初から最後まで歌を中心に、メロディラインをしっかり作り上げていて、ほんとに普通のポップで聴き心地の良いSSWものを聴きたい人にとっては、こんなに良く出来た上質なアルバムもないかも。是非、ご一聴を。アルバムサイズも12曲43分で、ポップスアルバムとして絶妙なサイズだし、好きな人にとっては、タイムレスなメジャータイトル作品になると思う。

「American Television」を聴いて、ソウル・アサイラムのヒット曲「Runaway Train」を思い出してしまう人は続出かも(笑)。
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リックとアダム。
- 2007/12/10(Mon) -
Even If It Kills Me

Even If It Kills Me - Motion City Soundtrack

ミネソタ・ミネアポリスの5人組ポップパンクバンドの3作目。

バンドは97年に結成。2枚のEPと1枚の7インチレコードシングルをリリースした後、2002年にデビューアルバム「I Am The Movie」を自主制作でリリース。翌年の03年、有名なパンクレーベル、エピタフの目に留まり、契約。デビュー作の国内リリースを果たした。04年にはロスでセカンドアルバム「Commit This To Memory」をレコーディングし、リリース。プロデューサーはブリンク182のベースプレーヤーだったマーク・ホップスが担当。プロデューサーが有名人、ゲストにもフォール・アウト・ボーイのパトリック・スタンプや以前ここでも新譜を紹介したリムベックのメンバーが参加し、話題性が高まったこと、その後のエピタフ・ツアーへの参加したこともあってか、アルバムは国内で25万枚以上売れたとのこと。その勢いが反映されてか、今回の3作目のアルバムも発売初回週に33000枚を売り上げて、ビルボードの16位にランクインしたとのこと。

一応メディア的には、彼らはエモパンクバンドと位置づけられていて、このバンドの最も特徴的なのは、勢いのあるポップパンクサウンドにムーグの音が被せられてることだと思います。エモにムーグ音と言えば、ウィーザーを思い出さずにはいられないですが、当然比較対象にもなっているよう。それに続く、ジミー・イート・ワールド、ゲット・アップ・キッズ等々の名前も挙がり、それもエモという枠組みに入れられたバンドの宿命か。

そんな彼らの今回のアルバムの話題と言えば、リックとアダムですかね、やっぱ。僕が引っかかったのもそこでした。彼らは、プロデューサーにリック・オケイセックを選んだのです。リックと前述のウィーザーと言えば、あのブルーアルバムを思い出さずにはいられないのですが。・・・しかし、リックからは打診をしても全く返事が返ってこなかったそうです(苦笑)。それで、リックを諦めた彼らはファウンテン・オブ・ウェインのアダム・シュレシンガーとガールズ・アゲインスト・ボーイズのエリ・ジャネイのチームにプロデュースを打診。それが決まった後、リックから「やるよ。」という返事が来て(遅)、アルバムを半分ずつプロデュースすることになった模様。

それで出来上がった結果といえば、あのエピタフと契約してるバンドと思えないような、かなり良質なパワーポップ作に仕上がってます。このアルバム以前はもっと若さと勢いのある音楽だったようですが、ソングライティングがより成熟し、ずっと洗練された雰囲気のアルバムとなったので、聴き心地がとても良い。優しい雰囲気のボーカルに、感情の入った、流れるようなポップメロディ、そしてそのメロディと、爽やかかつ温かく溶け込んで、包み込むコーラスハーモニー。ムーグ特有のあのうにょうにょした電飾音が入ることによって、ファニーでリラックスしたムードが持ち込まれてるとこもグー。決してそれらは目新しいやり方の感じはしないけど、安心して聴いていられるクオリティを保ってるとこがいいです。それから、アルバムジャケットもすっと目に飛び込んできて、個人的に良い感じです。青ベースのカラフルさが素敵。

まぁ、良い曲が多いですね。こういうクオリティの楽曲が揃っているなら、何度聴いても嫌な感じがしない。むしろ進んで聴きたい。それくらいの良さ。やれウィーザーだ、やれジミー・イート・ワールドだと言われる感じではありますけど、それは言ってしまうと、そんな彼らと肩を並べて、比較できるくらい良いってことなんですよ。まだ聴いてない方は特に、そういう風に受け取ってください。
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聴きやすい。
- 2007/12/08(Sat) -
Hey Venus!

Hey Venus! - Super Furry Animals

ウェールズの5人組2年ぶり新譜8作目。

SFAは93年バンド結成のキャリアの長いバンドになってきたわけですが、サイケ色のあるひねくれポップバンドの彼らが、アルバムを出せば常にUKチャートの10位付近に登場するという安定した地位を得ているっていうのが、結構稀な存在だと思うのですが。この8作目も普通に11位とか取ってたみたいです。

昨年ラフトレードと契約した彼らは、確か、アルバム3作分くらいが同時進行中で、スピーカーの音が吹っ飛ぶくらいラウドな作品と、静かめの作品と、あと確かシンフォニックな作品だっけな?そういう3つを進めてて、一番最初に出るのがラウドな作品、という話だったような気がする。ラウドな作品というと、ギターロック色の濃かったデビュー作みたいになるのかな?と思っていたけど、実際この作品がリリースされて、蓋を開けてみると、別にそうではなかった。どうも方向転換したらしい。

このアルバムはラウドな作品とはならなかったが、実に聴きやすいポップ作品になっている。他の人のレビューも見てのとおり、ブラジルレコーディングしたという前作「Love Craft」はかなりまったりしてて、感覚を研ぎ澄まして聴かなければならないようなアルバムだった。だから、それほど目の覚めるような刺激的な作品でもなく、今作品のライナーノーツにはあのアルバムについて「眠かった」とか書かれてるわけだけども(笑)、そういう反応を持ったリスナーには、今回のアルバムはかなり期待に応えてくれる作品だったと思う。

テンポも良く、メロディも明瞭。一緒に歌いたくなってしまう曲もある。またこれまでのアルバムと決定的に違うのは、アルバムの尺が短く、楽曲がコンパクトにまとめられていることである。これまで普通に50分以上の分量が1枚にあったけども、今回は11曲36分。さくさく聴き進んで、聴くのにもスピード感がある。それでわかりやすく、この明るい感じのポップな内容だから、とても聴き当たりが良い。ここ最近のアルバムの中では最も快作だと思う。

このアルバムの中で一番最高なのはやっぱ「Suckers!」でしょう(笑)。ヒネクレの彼らの良さを最も象徴したような曲で、ずっと頭の中をループしそうな曲。4分間に渡って、世の中のあっちこちのくそったれども全てに捧げる曲(笑)・・・でも、俺たちはまだ始まったばかり。
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安心印より冒険。
- 2007/12/06(Thu) -
Under The Blacklight

Under The Blacklight -Rilo Kiley

女性ボーカルを擁するロサンゼルスのインディロックバンドの4作目。

3作目「More Adventurous」をリリースして作品の高い評価を得つつも、それに伴うツアーを回った後は、バンドとしての活動を一時中断し、メンバーそれぞれ独立した活動を行うようになっていった。バンドの紅一点のボーカリスト、ジェニー・ルイスは双子のワトソン姉妹をボーカルコーラスに従えて、ソロアルバムを制作して、昨年リリース。今年のフジロックにもやってきた。ギタリストのブレイク・シュネットはエレクテッドという名のバンドでセカンドアルバム「Sun, Sun, Sun」を同じく昨年にリリースした。そして、今年再びメンバーはこのバンドに戻ってきた。

今回の作品は、これまでのアルバムとは内容が大きく違い、非常に賛否両論の色の濃そうな作品に仕上がっている。DIY色の濃いバンドならではの、音楽的な身の軽さがよく表れている感じで、これまでの固まったイメージで聴こうとすると面を食らってしまうかもしれない。

というのも、これまでのイメージというのは、カントリーミュージックをインディロックバンドなりに上手く料理した感じの、いわゆる「オルタナカントリー」、さらに前作では50年代のアメリカンポップスのスウィング感覚とゴージャスな感じなんかも綺麗に取り入れられてて、どこか牧歌的でまったりしつつも、一方できらびやかなアメリカの伝統的スタイルを打ち出す、というイメージだった。またそれがジェニー・ルイスの艶のある歌声と上手くマッチしてて、より印象的なものになっていた。

それが今回、カントリーポップスという彼らの絶対的音楽領域に、新たな音楽の味付けとして加わってきたニュー・ウェーブやディスコ音楽のような電飾音楽。それらがアルバムの前半を占め、このアルバムの顔となっていて、多分あれ?と思うリスナーが続出(笑)。アルバム後半になると、前作にも収録されても良いようなブラスの入った曲や今流行のピペッツがやってるような60年代曲が入ったりしてて、これまでの彼ららしい良い意味での古臭さを残したポップソングが少し並ぶのですが、イメージとしてはやはりメイクアップバッチリの(笑)70年代終盤から80年代初めくらいのロックが印象として色濃く残ります。

前作から「さらに冒険を推し進めた」作品には間違いなく、ついていけるかいけないかは別として、こういう風に変化してしまうのもなかなか面白い。これまでのキャリアと比較したような変な固定観念に惑わされずにやりたいことをやるという意思ともに、彼ら自身は多分僕らが考えているよりずっと広義的な「ポップ」というカテゴリーに自由な発想で挑んで、常に新鮮な空気を得ようとしている。それはきっと、彼らが今の時点でそれほどの余裕と器用さも身につけたから、とも言えるかもしれない。こういう変化をし続けるなら、次に何をやるのか、楽しみな展開かも。
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相変わらず真面目。
- 2007/12/04(Tue) -
Singularity.jpg

Singularity - Mae

ヴァージニア・ノーフォークの5人組の2年5ヶ月ぶりの新譜3作目。

瑞々しくキラキラしたメロディと一点の曇りのない青々しさが印象的なギターポップなデビュー作「Destination: Beautiful」、1人の冒険少年を主人公にし、絵本を読み進めるように進行していくストーリーアルバムで、ビューティフルエモスタイルを確立して見せた前作「The Everglow」。作品としても順調にステップアップし、積極的なプロモーション展開、ツアー展開により、着実にファンを増やしていった彼らは、ついにメジャーレーベルのキャピトル・レコードとの契約を発表。そして、この3作目となった。

前2枚に個人的な感情を入れると、「Destination: Beautiful」がアルバムジャケット通りの期待通りの作品で、一目置いていたニューバンドだったのだけど、その次の「The Everglow」が、ここまで化けるかって言うほどの内容、また個人的にも最も好んでリンクできる世界観で、年間ベストアルバムの1枚に挙げるほどの良質なロックアルバムでした。ゆえにこの新作は今年最も期待する1枚だったんですよね。このアルバムのプロデューサーも、オール・アメリカン・リジェクツ、ヘッド・オートマティカ、リライアントK、メイレイなどをプロデュースした、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのハワード・ベンソン(昔はガッチガチのヘビメタプロデューサーだったことを考えると、彼の仕事変遷はユニークだ。)で、彼の存在も良いアルバムが出来そうな期待材料だった。

このアルバムなんかも聴いてて常々思うのは、彼らはほんとに真面目だなぁ、と思ってね。バカ正直なくらい音楽に対して忠実で、バンドが徐々にステップアップしてるとこを何もかも正直に、何のトリックも変なテクニックも虚勢を張った嘘もなく、ありのままの等身大の姿をそのまま音楽に綺麗に映し出そうとする意欲がものすごく滲み出てる。前作は「ストーリーアルバム」というアイディアを付加価値として加えていたため、通常のアルバム作品より興味が持たれやすく、幾分派手なアピールになっていたけども、結局彼らの音楽を聴いた印象として色濃く残るのは、彼らの売りである豊潤なメロディセンスとキラキラした色彩感覚とともに、そんなバカ正直さだったり、呆れるくらいの誠実さだったりするのだ。そこに惹かれていくリスナーが多いんじゃないかと思う。

前作からのステップアップといえば、このアルバムから聴こえるのは、バンドとしてのタフさと力強さだと思う。あとは今持ってる勢いかな。そこが一番前面に出ているアルバム作品になっている。特にデビュー作なんかと比較すれば明確なように、よりロックな部分を高めて、その頃よりもバンドとしてずっとビルドアップしたはずの今の自分たちの姿を「今の勢い」として、そのまま作品に乗せている。またこれまで得たスタジオ経験の部分も生かして、全体的なサウンド作りに反映させることにもかなり前向きだった様に映る。それも前作よりさらに器用に、自在にコントロールしてるように思えるからだ。その辺はプロデューサーの力も大きかったかもしれない。もちろん、彼らの特徴であり、根幹にもなっているメロディアスな部分だったり、サウンドハーモニーの部分が特別減退するわけでもなく、引き続き、変わらぬ持ち味として、披露されている。

最も、あの輝きと純粋さとともにカタルシス度の高い話題性のあったアルバムの後だけに、人間の内面や関係にフォーカスを当てた今回のようなアルバムだと、いくらか地味に見えてしまう部分は否定できないが、その中でもなかなかの良質な作品を作り上げた事実に変わりはない。こういう、より現実的な作品をどこかで作る必要は彼らにあったと思う。
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溜息しか出ません。
- 2007/12/02(Sun) -
Larks.jpg

Up With The Larks - Pearlfishers

BMXバンディッツのメンバーでもある、スコットランド・グラスゴーのSSW、デヴィッド・スコットの4年ぶりソロ6作目。

今年のバンディッツの新作のとこでも書いたけど、とにかく、あの音楽が素敵過ぎて大好きなパールフィッシャーズのデヴィッドが、BMXバンディッツに加入したという知らせにほんとにびっくりしたんだけど(と同時に、イメージ通り、あのバンドはダグラスがいれば、もはや何でもアリだな、と再確認したわけだけど。/笑)、1つ心配事もあって、果たしてこのパールフィッシャーズの次の新作はいつリリースされるのだろうか?と思って。2003年にリリースされた前作「Sky Meadows」以来、まだかまだかとずっと待ってて。

99年にリリースされた4枚目の「The young Picnickers」に出会って以来、ほんとに好きで、何度も聴いてたお気に入りで、その次に出た「Across The Milky Way」も、その次の「Sky Meadows」も大のお気に入りだったから・・・もうね、その好きっぷりは他の人に説明できないんだ、これ(笑)。だから、バンディッツに加入したデヴィッドが新作を作ってる話を目にした時は、ほんと言葉に出来ないくらい嬉しかった。バンディッツのアルバムも傑作で、すごく良かったけどさ。

パールフィッシャーズは何が良いって、デヴィッドがビーチ・ボーイズやトッド・ラングレンが大好きなもんだから(バンディッツのダグラスもそうだけど、)、その影響からか、すごくボーカルハーモニーの利いた、美しくてオーガニックなポップミュージックをやっているんだけどさ、何が素敵って、もうとにかくめちゃくちゃロマンチックなんだ、音楽が。余裕のある大人の音楽。曲の冒頭で、ピアノの音が鳴り始めると、その瞬間、メロメロになって、腰砕けになっちゃうのさ。ものすごくピュアで、なんとも綺麗で、なんとなく包み込むように温もりがあってね。・・・こんな人、うちに1人欲しいくらいでさ(笑)。

今回のアルバムも、その期待にすごく応えててくれてて、見事な透明感と綺麗な色彩感覚があって、そんな彼の聴かされてしまう音楽世界にうっとりしながら、また腰砕けるっていう。前作が作りこんでて、もっとゴージャスな感じがしたアルバムだったんだけど、今回はそれに比べると、もうちょっとシンプルかな。
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