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まったりと適度に跳ねる。
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- 2007/10/30(Tue) -
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![]() Benny ...At Home - Benny Sings オランダ・アムステルダムのSSWの3作目。 あんまりこういうのを聴くというガラでもないんですけど(笑)。ジャンル的にはダンス&ソウルっていうんですかね。ただこれ自体は彼の畑であったDJミュージックの域をもはや超えてて、もっと広く普遍的な感じのポップス音楽で、とっても親しみやすくて良いんですよね。これを一番最初に目にした時、あんまりこれを自分で聴いてるっていうイメージは出来なかったんですけど、まぁでもこういうのもいいかなぁ、と。たぶん、ここの中にもあるようなちょっとジャジーでロマンチックだったり、歌心の入ったソウルミュージックだったりするのは、聴きやすければ自分の中でかなり通る音楽とも思ったので。 まぁ、実際きちんと聴いてみて、これは良かった。今思えば、こういう音楽がコレクションにあって良かったなぁ、と。それを痛切に感じるのは、出かけの時に聴く音楽でこれがあると助かるっていう。というのも、自分の持ってる音楽の中だけでは、たまに全部気分が合わない時ってあるんですよね(笑)。それってどんな時って、あんまり気分の上がらなくて、妙に気だるい時で、そんな時に僕の持ってるやつといえば、シンガー・ソングライターの歌ものとか、フォーキーなものを選んで、まったりするパターンが多いのだけど、大体そういうのって、しれっとしちゃうんですよね。適度にムード良く聴かせてくれるんだけど、聴いてるこっちもそのムードに流されて、何だかしれっと聴いてしまう(笑)。やっぱり気分がそんなに聴く音楽で上げていけなくても、そのまましれっとした感じじゃ、特に朝なんかそのままこれから始まる1日が突入していくと、ちょっと辛い。 このアルバムって、この音楽って何が良いっていうと、全体的にまったりとリラックスムードの強いポップスなんだけど、音楽が適度に跳ねてくれるんですよね。全然音楽が押し付けがましくもない上に、全く聴く者の負担もかけずに適度に跳ねてくれるっていう、そういうのって自分の持ってる音楽にはあまりなかったのです。聴いてるもののほとんどが、ロックか、それに準じたものですから、上げるなら上げる、下げるなら下げるというものがやっぱ多くてね。しかも、全く違う畑の音楽だから、聴いてるとすごく新鮮でね。もちろん朝だけでなく、家帰ってからのリラクゼーションのためのBGMにもグー。 この人の良いとこは、昔良く流れてたような伝統的なポップスが音楽の根底に大きくある、ということですか。新しい感じの、時代を象徴するような先鋭的な音楽ではないし、そんなにドカドカ音が入ってるわけでもなく、生音も大事にされてて、ちょっと鼻歌でなぞってみたくなったり、ちょっと踊ってみたくなってしまうオシャレ感覚もあるっていうのが素敵。ロマンチックなのも良い。変に構えて聴く必要もないし、聴いてても肩は凝らないし、あとはとってもポップっていうのが自分らしいかな。 こういうのってかなりラジオ受けすると思うんだけど、あんまり日本じゃプロモートされてないのかな。音楽からいっても、女性受けも良さそうだし。 |
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ただのポップバンドじゃ終わんないかも。
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- 2007/10/27(Sat) -
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![]() Fractured Life - Air Traffic 英国ドーセット州南海岸の町ボーンマス出身の4人組バンドのデビュー作。 2003年に結成。バンド名は、空港近くの倉庫でバンド練習をしていたら、よくアンプが空港管制塔(Air Traffic Control)からの音を拾っていたことからが発端。学校へ通いながらも、リハーサルやライブをこなしつつ活動し、2005年に今のベースプレーヤーが加入した時点で、今のバンドの形が出来上がった。翌06年には、クラブ・ファンダンゴというライブ・プロモーターのレーベルから「Just Abuse Me」と「Charlotte」の両A面シングルを500枚限定でリリースすると、2、3日のうちに売り切れたという。そして、これとほぼ同時期には、メジャーのEMI傘下レーベルと契約。その後、BBCやケラング・ラジオからイントロにゴキゲンなピアノフレーズを持つ「Never Even Told Me Her Name」が流れ出すようになると、より広く彼らの名が知られるようになった。その年末にも、BBCが選ぶ2007年の期待の新人としても6位に選出された(この時の1位はミーカ、2位はトゥワング、3位はクラクソンズ)。07年に入ると、シングルを2枚リリースし、このデビュー作も夏にリリースされた。 ミュージシャンたちにとって、デビュー作というものは「出発点」であり、その出発の「点」を付ける時だけに、できるだけシンプルにかつ、より鮮明に、自分たちの音楽を1枚でリスナーに届ける必要があると思うんですよね。そのアピールの最初の大事な場面というか。その後はそこに足すなり、引くなり、変化を付けるなりしていけばいいわけだからね。 そういった意味では、このバンドのデビュー作を聴いた時の第一印象は、結構ユニークなデビュー作だなぁ、と。このバンド、基本的にピアノを生かした、英国らしく叙情性の高いインディロックバンドなのだけど、アルバムが始まるなり、ベン・フォールズのような跳ねたポップソングが飛び出したかと思えば、90年代中盤のブリットポップの影響を受けた00年代的ギターロックソングが豪快に始まったり、USピアノエモかと思えば、レディオヘッドやミューズのような屈折したダークな曲があったり、エド・ハーコートの曲のような時があったり・・・要するに幕の内弁当のように色々と1枚の中に入ったアルバムなんですよね。デビュー作なんだけど。とりあえず、その時やりたいことを全部やっちゃったのかなぁ?という。バラエティに富んでて、面白いんだけどね。 もう少しアルバムとしては整頓されてるといいかなぁ、もっとわかりやすく伝わっていくかなぁ、と個人的には思うものの、全体的にメロディセンスは高く、ポップで耳を惹く場面が幾度となく訪れるのはさすがメディアから注目を集める新人。特に「I Can’t Understand」のようなアルバム終盤の美しくも聴かせるムードなんかは個人的に気に入ってるんだけども、ここなどで窺える楽曲を表現する力や創造力はすでに非凡なものがあり、この先、もしかしたら化けてしまうかもしれないという予感はある。まだ若いバンドだから、その可能性も十分大きいし、今のところ、チャート的にもトップ40止まりの程度に落ち着いているけど、その程度で終わるようなバンドではないことは確か。それがこのアルバムを聴いてて感じられる。 |
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白いローブから黒い戦闘服へ。
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- 2007/10/25(Thu) -
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![]() The Fragile Army - The Polyphonic Spree (スタジオライブ) テキサス・ダラスの25人のメンバーからなる大所帯バンドの3作目。 このバンドの中心人物のティム・デラフターはこのバンドを始める以前、トリッピング・デイジーなる4人組バンドのメンバーだった。そのバンドは91年にダラスで結成されたロックバンドだったのだが、99年にバンドのギタリストが薬物によって亡くなり、バンドは解散。その後、ティムは地元のレコード屋を営むことになっていく。 ティムは以前より、自分が指揮したビッグコーラスによるシンフォニックバンドを作りたいとアイディアを周りに明かしていた。これは彼が子供の頃、70年代に体験したような、エレクトリック・ライト・オーケストラのような、輝かしくもスウィートなポップバンドの音楽が大好きだったから、ということに起因しているそうだ。そこで現在のマネージャーはそのティムのアイディアに手を貸すべく、その実現可能なステージを設定。それは友人関係にあった、今は亡きバンド、グランダディのオープニングアクトとしてのステージだった。しかしこの時、そのステージまでたった2週間しか残されていなかった。 発案者ティムは、トリッピング・デイジーの残された他のメンバーを含め、ミュージシャンたちにあっちこっち声をかけ、結果総勢13人のメンバーを集めることに成功。そのステージに与えられた時間の30分程度の音楽の制作は、ティムのソングライティングと13人のオリジナルメンバーたちによるリハーサルによって進められ、その反応はすこぶるポジティブだった。そして、2001年7月15日の初ステージで、ポリフォニック・スプリーは産声を上げた。 バンドはその後、その時にステージで演奏した楽曲とそれに付け加えられた10番目の曲「A Long Day」をたった3日間で録音し、それはデビュー作「The Beginning Stages of The Polyphonic Spree」となって、自主制作の形でティムが経営するレコード店に並べられた。また後に自主レーベルを立ち上げて、流通に乗せ、周囲の反応に応えている。 そして、バンドは毎年テキサス・オースティンで行われる世界最大級の音楽見本市「サウス・バイ・サウス・ウェスト・ミュージック・コンフェレンス」に参加し、この時バンドメンバーは23人になっていた。彼らは全員白いローブに身を包み、圧倒的な祝祭感と鳴らされる大きな音楽世界に観ている者を圧倒した。 実は最初に彼らが成功を収めたのは英国だった。有名人がオーガナイザーを勤めるフェスティバルで、2002年にデヴィッド・ボウイがその役目を担当。ロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールでのディヴァイン・コメディのサポートとして彼らが指名を受けたのだった。そして、それを目撃したレーベルからシングル「Soldier Girl」をリリースすることになったバンドはNMEなどを始めとするメディアから大絶賛を受けるに至る。その盛況をみて、バンドはヨーロッパ各地のフェスティバルに参加。ロンドンにあるワーナー・グループが所有するレコードレーベル、679レコーディングスとも契約し、2002年秋にデビュー作をUKリリース。またこの作品に収録されている「手のひらを太陽に」を地で行く曲(笑)「Light & Day/Reach for the Sun」は、フォルクスワーゲン・ビートルやiPodのCMのタイアップを受け、彼らの曲が広く国中に知れ渡ることになった。 2004年には、メジャーレーベルのハリウッド・レコードと契約を果たし、この年の夏に2作目となる「Together We're Heavy」をリリースしている。そして、人気医療ドラマ「Scrubs」や、ジム・キャリーとケイト・ウィンスレット(あの「タイタニック」の主演女優ね。)主演映画の「エターナル・サンシャイン」(かなりユニークな設定ですけど、結構面白い映画ですよ。)に彼らの曲が使われた。一方で、一部のメディアからは彼らを偽者扱いする論調が飛び出してきたりもしたが、これはある意味有名税と言ってもいいかもしれない。どんどん知名度とインパクトを残している彼らは2004年のノーベル平和賞の授賞式コンサートにも呼ばれるまでになり、その姿を世界中に示した。 2005年には、音楽業界でも数々のPV映像を手がけているマイク・ミルズ監督の映画「サムサッカー」のサウンドトラックをティム・デラフターが手がけ、ポリフォニック・スプリーが演奏している。 これまでライブ会場まで足を運んできたファンまでも巻き込んでの「白ローブ楽団」だった彼らだったが、今年の3枚目の新作ではそのトレードマークを脱ぎ捨てて、全員黒い戦闘服を着て、それを彼らの新たなイメージとした。 ・・・というわけで。今回はルックスを一新、戦闘服なんですよね。9.11があって、イラク戦争が起こって、その戦後処理がなかなか上手くいかない今のアメリカの現状を見ているアメリカ国民としては、何か一言モノを言ってやりたくなるのはごく自然の反応とでもいうべきか、元々、めちゃくちゃピースフルなムードに包まれているこのバンドもこの事態に黙っていられなかった、という感じだったのでしょうか。戦争が始まって以降、この手の主張のアルバム作品は続々とリリースされている感じもありますが。 今回の作品も基本路線は変わらず、ビッグなコーラスがバンバン入ってるシンフォニックロックミュージックという感じで、陽の光を思いっきり浴びた圧倒的な祝祭感覚と包み込まれるような大風呂敷な音楽世界はあのイメージのまま。ただ、今回の彼らはピースフルなローブではなく、戦闘服を着ているせいか(笑)、幾分音楽のノリは全体的に激しめ、というか、攻撃的な感じというか・・・攻めの音楽になっているんですよね。その分、結果として今までのほわーんとした、どこまでも思いっきり広がっていきそうな感じから、音楽全体が幾分絞まった印象に思える。ロックバンドの楽曲としては、よりフォーカスされたような感じというかね。だから、聴き手としては以前よりさらにわかりやすく、聴いた音楽の内容もイメージとして掴みやすいのでは?っていう感じ。今までの作品で、一番捉えやすく、わかりやすいと思う。 それにそもそも根がとってもポップなバンドで、メロディ主導のバンドだからとても親しみやすいし、でもってこれだけ多チャンネルの大所帯バンド音楽なのに、意外に消化しやすいものになっているしで。思ったより全然途中で聴き疲れとかもなくて、とりあえず聴き始めたら、最後までわーっと行ってしまう感じのアルバムになっていると思う。上手くコントロールされためくるめく楽曲展開とともに、わーっと行ってしまう。それに戦闘服着てるからって、まるでギスギスしたとこがないっていうのが素敵。 この高いクオリティを保ててるのは、やっぱり美しいハーモニーとメロディが良いからであって、それは今までもそうなんだけど、今回は以前よりまたさらにぐっとその能力が増した感はあります。だって、聴かせるメロディの欠片もない退屈な場面が一切ないもんね。全部メロディに溢れてて、生き生きとしてて、躍動的で、生きてる個々の人間からそれぞれ大きなエネルギーが感じられる。生きてるって、こんなにあったかくて、こんなに素晴らしい!ってずっと言ってるんだよ。ボーナストラックも含めて、60分間ずっとそうしていられるのは驚異。神様の優しく温かい恩恵を受けてんだよ、きっとね。 |
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あおいろ。
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- 2007/10/22(Mon) -
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![]() In To The Blue Again - The Album Leaf カリフォルニア・サンディエゴで活動するポストロックバンド、トリステザのギタリスト、ジミー・ラヴェルのソロプロジェクトの昨年リリースされた4枚目の作品。 1998年に始まったこのプロジェクトは、ポストロック/エレクトロニカ的インスト主体のバンドなんだけども、特にこの、暖かい生楽器サウンドと有機的で美しい電子サウンドがゆったりした音楽の中で幾重の層となって重なり合い、碧く溶け合う様は何物にも変えがたく、まさしく一級品。ミュージシャン間でも評価が高く、とくにアイスランドのシガー・ロスとは繋がりが深いのは有名で、一緒にツアーに出るだけではなく、アルバム・リーフに自分たちのスタジオまで貸してあげてしまう間柄。 この作品もアイスランドのシガー・ロスのスタジオまで行って録音したようだけども、まぁ、何というか、ほんと、音楽ジャンル云々を超越した1つの濃密な「音楽」を聴かされてる感じで、聴いてるうちに脳内がかなりエライことになる。・・・アルファ波が!みたいな。音色の感じからいって、徐々に寒くなっていく今のこの季節にぴったりの感じだし、全体的にヒューマンドラマ、ヒューマンドキュメンタリー、ネイチャードキュメンタリーのサウンドトラックを聴いているようだから、ほんとゆったり大きく癒される、というか。事実、アメリカのテレビドラマの劇中音楽にはもってこいらしく、引用されまくっているらしく・・・わかる気がするわ、しかもどんなシーンで、どういう場面の空気の時に流れるのかっていうのも何となく想像できる気がする。 これはあんまりあれこれ言葉で説明するより、それを体験したインパクトのほうが遥かに大きいので、とりあえず音楽に思いっきり身を沈めてくれ、といってしまった方が良いような気がする。とりあえずキラキラした碧い海にゆらゆらと揺られて、何か海の生命体になった気持ちで聴いてみる、と(笑)。 |
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1つで2つおいしい。
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- 2007/10/19(Fri) -
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![]() The Years In The Wilderness - Dolour シアトルのインディミュージシャン、シェーン・タトマークのバンド名義ソロの4作目。 音楽一家の中で生まれた彼は10歳でギターを弾き始め、高校生になるとバンド活動するようになった。このドロール(普通に英語読みすると、ドロールって感じじゃないはずだけど、一応日本盤はそういう表記なので。)は、高校時代に彼が作り上げたいくつかあるサイドプロジェクトの1つだった。バンドに参加してくれていたプレーヤーも彼と繋がりのあった高校生たち。高校卒業の頃になると、そんな学生プレーヤーたちも普通にどこぞに就職などしていくようになったが、彼は引き続きミュージシャン活動に勤め、ついにドロールの名で2001年に最初のアルバム作品を完成させた時、彼の活動はこの名前での活動1本に絞り込むようになっていた。 他の様々なミュージシャンたちとのコラボレーションを前提にして活動していたこのプロジェクトの次なるアルバムのために、シェーンはさらに音楽の視野を広げて、ホーンやチェロのような楽器を交えた様々なタイプの作曲アプローチを試し、結果100ものデモを用意して、ゲストミュージシャンたちを招き、次作のスタジオレコーディングに挑んだそう。そして2枚目の作品を2002年に地元のインディレーベルからリリース。 その後、勢いに乗ったシェーンは2枚目リリース直後からすぐに次の新しい作品に取り掛かっていたが、突然レーベルからのドロップを余儀なくされ、大きく落胆させられる。そんな業界の理不尽さに直面した彼は、その中から生まれた複雑な気持ちを新たなエネルギーにして、次なるアルバムの糧にしていった。1年半もの時間をかけて制作した作品は、2004年に別の地元レーベルからされた。 シェーンは次の作品に過去にデモ録音した「Hell or Highwater」と「Storm & Stress」という、タイプの異なる2作品をもう一度練り上げて、同じCDフォーマット内に収めるという構想を持つ。そのアイディアは契約していた地元レーベルには難色を示されたが、一昨年に初めて彼のコレクションCDとして初リリースした日本のインディレーベルにはその意思が伝わったようで、今年それは日本での彼の初オリジナルアルバムとして、リリースに至った。 ・・・というようなことを僕は知っていたわけでも、彼の作品をずっと追っていたわけでもなく、ただぶらっとCD屋さんに入って、たまたま見かけたこの作品を試聴したら、自分の好みに合った、良さげな作品だったので手にしたというだけの感じなんですけどね。試聴機のとこに書いてあった情報によって、どうやらこれはシアトルのミュージシャンによる作品らしいっていうことを知り、ちょっとふたを開けてみたら、音楽も良いけど、この2つの作品を1枚にしてしまったという「2 in 1」なアイディアが面白いなぁと思って。 ここでは全然関係ないけど、彼のことをインターネットで調べてみたら、彼のひいおじいちゃんはミュージシャンで、しかも今当たり前のように使われている、フレット付きでボディがソリッドタイプのエレクトリックベースギターを70年も前に発明した人なんだそうです。当時、ベースといえば、あの大きくて、持ち運びも大変そうなウッドベースしかなかったわけですが、この発明によって、持ち運びも便利、しかも一緒に演奏している他の楽器の音にも負けないベースギターサウンドが得られるようになったわけですね。当時のツアーミュージシャンたちにとってはこの上なく朗報だったでしょうね。 まぁ、そんな余談はともかく。このアルバムは前述の通り、2作品が1枚に収録されている作品です。お互い30分弱くらいのもので、2つ合わせても60分満たないものです。2つの作品の性質を最も簡単に言うと、前半の作品はノリが良いパワーポップ/ギターロック作品で激しめ、後半の作品はチルアウトしてて、ロマンチックなムードのある、大人しめの作品。賞賛する同郷ミュージシャンのポウジーズのケン・ストリングフェローは、「「Storm & Stress」はよりラウドでエレクトリックなXTCの「Oranges and Lemons」、「Hell or Highwater」は輝かしいインディロック仕様の「Pet Sounds」のようだ。」というコメントを残したとか。 そもそも全体的にとってもポップな作品でとても良いと思うのだけど、それだけで終わっていない曲作りとアレンジの巧みさが良いと思う。すごくこだわって作ってるんだろうなぁと思う。前半には親しみやすく明るいパワーポップソングやキラーチューンが並んでいるようでも、その中には「An Easy Life」のようなリズミックな調子があったり、独特なダークさを持った曲があったり、終盤にはエキサイティングなギタージャムがあったりして、きちっと明暗、起伏、展開等の流れが計算されたものになってる。後半になると一気にガラッと雰囲気を変えて、全体的にドリーミーで、ロマンチックな調子が訪れる。後半は前半にもちょこちょこあったブライアン・ウィルソンの要素がぐっと高まり、美しいハーモニーを奏でる。ホーンや鍵盤、ストリングスなどの楽器演奏を活用して表現域を広げ、音楽ジャンル的にもカントリーやジャズ、50年代ロックンロールなどの要素が次々に出現、まるで飽きの来ない、聴かせるポップミュージックを展開している。 このアルバムを聴くだけでも、すごく器用に音楽をやれる人だとわかるし、すごく色んなアイディアに溢れていて、適材適所にそのアイディアを楽曲にはめ込んで、自分の音楽を最も美しく完成させることが出来る人だし、それにこのメロディセンスはこのままローカルないちインディミュージシャンにしておくのはもったいないという感じ。たまたま見つけたとはいえ、これは掘り出し物だった。 |
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夏は終わったので。
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- 2007/10/17(Wed) -
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1. Run Devil Run / Jenny Lewis
2. Rise Up With Fists!! / Jenny Lewis 3. Oh Mandy / The Spinto Band 4. Mother/Son / Dolour 5. Send Me A Letter / The Pearlfishers 6. This One I Made For You / Polly Paulusma 7. Back To The Start / Polly Paulusma 8. Love Me Like The World Is Ending / Ben Lee 9. The Animal Were Gone / Damien Rice 10. Fake Empire / The National 11. Shine / Album Leaf 12. Who You Are / Cary Brothers 13. Degrees Of Separation / Badly Drawn Boy 14. Nothing's Gonna Change Your Mind/Badly Drawn Boy 15. Vendredi / Tamas Wells 16. Selfish Jean / Travis 17. Work To Do / America (曲名をクリックすると曲が聴けます。) いつも同じニュアンスのものが多かったんで、今度はそういう感じとは違う、もう少しストイックで、季節柄、秋の夜長にもフィットするチルアウト的なものを作ってみたいな、と。正直、聴き返すと流れが強引なとこもあったりして、全体的に上手く出来たかは微妙なとこなんだけど、中盤から後半にかけてあたりは作る前に自分の中であったイメージの1つに近くて、自己満足的に良いんじゃないかと。こんな形にしても、結局ポップな仕上がりになってしまうのはしょうがないね。 最後の曲は、この間ヒュー・グラントとドリュー・バリモアの映画の「ラブソングができるまで(原題:Music & Lyrics)」を観てたら、エンドクレジットのとこでこの曲が流れ始めて、あれー、どっかでこれ聴いたなって思い出そうとしたら、この間のアメリカの新譜のアルバム曲じゃん、ってすぐわかって。この映画、ファウンテンズ・オブ・ウェインのアダム・シュレシンジャーが全部音楽を担当してたので、彼が楽曲提供したアメリカの曲がそこで流れ出すのも納得の理由。アメリカらしい綺麗なボーカルハーモニーが炸裂している素敵なポップソングだけども、曲自体はFOWにあってもおかしくない楽曲じゃない?しかも、シングル曲にしてもいいような曲なのだけど、実際はよそ様のアルバムの中のただの一楽曲・・・そんな職業ライター、アダムの凄まじさを感じてしまう瞬間。 |
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聴きたい曲は山ほど。
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- 2007/10/16(Tue) -
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Fountains Of Wayne @ Liquid Room Ebisu Tokyo
昨年暮れ以来の、4作目の新譜「Traffic And Weather」に伴う単独ツアー東京公演初日。 しょっぱなから出し惜しみもなく、新旧交えたシングル曲を連発し、ライブを進めていけるのが彼らの強み。自分たちの曲を演奏してる彼らの中の意識はどうなのかは知らないけど、オーディエンス、ファンの立場から言えば、基本的に彼らの曲の大半はシングル曲になりえそうな3分間ポップソングばかりなので、何をやっても反応良く盛り上がってしまう。しかも恐ろしいのは、特にファンがいつもなら最後の終盤まで待ってやっと聴けるような曲を出し惜しみなく演奏して何曲進めても、彼らの楽曲ストックの限界どころか、20曲やっても、みんな共通して思うはずの、まだあの曲も、あの曲、あの曲も、あの曲もやってないよねぇ、という印象をずっと最後まで引きずったままいられるというのが普通にすごい。今回の公演でのいうとこの、前回公演でデレク・アンド・ザ・ドミノスの「Layla」のピアノインストを挟み込んで見せた名曲「I’ve Got a Flair」も、ファーストの人気パワーポップソング「Survival Car」も、セカンドアルバムの顔のはずの「Utopia Parkway」も、いつも終盤で演奏するはずのシングル曲「Sink To The Bottom」も、多分新譜の曲で一番待たれた「This Better Be Good」もやんなくて、公演が済んでしまったということ。これは代表的なとこで、他にも人の好みによってはまだそういう曲が存在する。数えるのが大変なほど何枚もリリースしているキャリアの長いバンドならまだしも、まだB面集含め5タイトル程度のバンドでそれだから恐れ入る。 演奏自体はいつも通りな感じ。元々別に演奏がタイトなバンドでもなくて、曲の出だしの足並みがいまいちだったり、演奏途中も微妙に怪しかったりするとこもあったのだけど(そういう時ってアダムが苦笑いするんだよね、いつも。見逃さないけど。ギターのジョディなんかは天然キャラだから、そんなの気にせず飄々とストーンズのギタリストみたいに弾いてるけどね。/笑)、その辺のラフさも、歌やメロディラインで引っ張っていくポップバンドらしく、ある程度の楽曲再現と楽曲自体の質の高さで乗り越えてる感じで。 前回公演がボーカルのクリスが病院に行かなければならないほど体調を悪くし、苦痛の中の必死さが印象的なライブだったのですが、今回はそういう負担が一切感じられずに、1曲ずつ終えると「ありがとう!」と言いながら、時には笑いも織り交ぜつつ次の曲の紹介をしていき、それを演奏するという、リラックスした感じのショウでした。 Setlist: 1. Red Dragon Tattoo 2. Maureen 3. Mexican Wine 4. Someone To Love 5. Yolanda Hayes 6. Leave The Biker 7. Hackensack 8. Troubled Times 9. Hey Julie 10. Strapped For Cash 11. Hotel Majestic 12. Denise 13. Stacy's Mom 14. Radiation Vibe 15. It Must Be Summer ---------------------------------------------- 16. Fire In The Canyon 17. Sick Day 18. No Better Place ---------------------------------------------- 19. Traffic And Weather 20. Joe Rey 21. Bought For A Song 追記:やはり曲はかなり替えてるらしい。 Setlist:Day2 1. Barbara H 2. Denise 3. Mexican Wine 4. Someone To Love 5. Hotel Majestic 6. Janice's Party 7. Hackensack 8. Valley Winter Song 9. I-95 10. Strapped For Cash 11. No Better Place 12. Utopia Parkway 13. Stacy's Mom 14. Radiation Vibe 15. Survival Car ---------------------------------------- 16. Hey Julie 17. You Curse At Girls 18. Trouble Times ---------------------------------------- 19. Traffic And Weather 20. Sink To The Bottom Setlist:Day3 1. Radiation Vibe 2. Denise 3. Mexican Wine 4. Someone To Love 5. Red Dragon Tattoo 6. Hackensack 7. Trouble Times 8. Hey Julie 9. Strapped For Cash 10. Hotel Majestic 11. It Must Be Summer 12. Stacy's Mom 13. Joe Rey 14. Sink To The Bottom ----------------------------------------- 15. Fire In The Canyon 16. You Curse At Girls 17. I-95 ------------------------------------------ 18. Traffic And Weather 19. Bright Future In Sales 20. Go, Hippie |
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もう夏は終わっちゃったけど。
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- 2007/10/14(Sun) -
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![]() Teenager - The Thrills アイルランド・ダブリンの5人組バンドの2年半ぶり3作目。 スリルズの真骨頂は、アイルランドのような、まるでカリフォルニアの気候や風景と無縁の場所から生まれたバンドが、カリフォルニアの温暖なムードを捉えて、儚く美しく表現しているということ。アイルランドで育ち、その背景を持った若者たちが、とてつもなく遠い憧れのカリフォルニアを遠目で見つめて、その浮き上がった蜃気楼のような景色を音楽で美しく描いているという感じが(勝手な自分のイメージなんだけど。/笑)、ちょっとロマンチックでいいでしょ?(笑) どうしてこういう風になったかというと、彼らがバンドで行き詰まり、解散寸前まで行った時、彼らは夏休みにメンバー4人で、元々憧れに思っていた米西海岸に行くんですよね。で、そこで強い影響を受けた彼らはいくつか曲を書いて、行く行く出来上がった楽曲群はデビューアルバムになって、アイルランドのアルバムチャートでナンバー1になり、UKのチャートでも最高位3位になって。そこから上手くバンドが回りだしたという。 2作目はアルバムジャケットがまるで彼らとは無縁の感じだったんで、音楽をシフトチェンジしちゃったのかなぁ、と一瞬不安に駆られたんだけど、ストリングスの導入とかで少しゴージャスになったものの、「儚げなカリフォルニアサウンド」という基本は全然変わってなくて、「やっぱすっごく良いじゃん!」と思いつつ、かなりホッとしたんですけどね(苦笑)。 で、僕は彼らの2枚のアルバムを持って、ロスのサンタモニカに行った時に聴いてね。いつもと同じようにただ音楽を聴くという行為なのに、大好きな2枚のアルバムな上に、やっぱり環境がばっちりハマり過ぎてて、本当に最高に素晴らしい、忘れられない体験だった。 それから2年以上経った今、待ちに待った3枚目が届いたわけなんですけど、この変わらない素敵なポップミュージックに、このアルバムジャケットの写真、そしてアルバムタイトルとなった「ティーンエイジャー」というキーワード・・・・あまりに完璧すぎるじゃないですか、と。 カラフルで甘酸っぱいニュアンスに、自由奔放な10代の危うさとシンクロするカリフォルニアを題材にした儚く、開放的な音楽のムード。・・・全てがハマリ過ぎてて、素敵じゃないか、と思わず言わずにいられない(笑)。 前作時、きっと表現を増やすため、ゴージャスな方向へ向いたものの、今回は逆に余計な手を加えない、削ぎ落とした感じになっている。それはデビュー作で一緒にやったトニー・ホッファーと再び組んだことによる影響もあるかもしれないが、元々本人たちの意識がそうだったのだろう。なぜなら、曲の強度もデビュー時に比べると、ずっと上がっているし、変わらないポップミュージックでありながら、その表現は2作目を通過しての3作目、ずっと巧みに、ずっと器用になっている、という自信がこのアルバムには表れている。 このままずっと美しいポップミュージックを作り続けてくれることを祈るのみ。 |
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苦節3年。
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- 2007/10/11(Thu) -
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![]() Calling The World - Rooney ロスの5人組バンドの4年ぶり2枚目。 結成は2000年。元々は、今は脱退してしまったオリジナルドラマーとギタリストが高校生の時に結成したスクールバンドで、メンバーは安定しなかったが、今のラインナップになって、ようやく形になったという。ちなみに余談にはなるけど、ここのボーカリストはコッポラ一族の一員で、監督フランシス・コッポラの妹に当たる女優タリア・シャイア(映画「ロッキー」の主人公の愛妻エイドリアン役で有名。)の息子。フランシスの娘に当たる女性監督ソフィア・コッポラや有名俳優ニコラス・ケイジのいとこに当たる。お兄ちゃんはファントム・プラネットの元ドラマーで、今は俳優業にも専念しているジェイソン・シュワルツマン。 インディで3枚のEPをリリースした後、2002年にメジャーレーベルのゲフィン・レコードと契約。その翌年、デビュー作がリリースされた。日本でも放映されている大人気ドラマ「The O.C.」に出演したり、ゴルフゲームや昼ドラのタイアップに彼らの曲が使われたりして、徐々に知名度を上げていった。またウィーザーやストロークスのツアーサポートにつき、ライブ展開も積極的に行っていった。アルバムセールスは50万枚以上となり、ゴールドディスクに。 2004年暮、ベックやエール、ベル&セバスチャン、フラテリズのアルバムを手がけたことで知られるプロデューサー、トニー・ホッファーとともに、翌年春新作リリースを目指し、アルバム制作を開始。アルバム名は「The Kids After Sunset」と名づけられたセッションだったが、最終的にバンドはこのアルバムの出来に納得せず、全て破棄することに。後に、この時のデモはインターネット上でリークされ、ファンの間では「失われたアルバム」として認められている。 2005年秋、最近メイ、リライアントK、スターティング・ライン、メイレイのようなバンドのアルバムを手がけて評判を集めているハワード・ベンソンをプロデューサーに立てて、アルバム制作を再び開始。2006年春のリリースを目指し、この時は最後まで作品を完成させ、アルバムジャケットを完成させ、ファーストシングルのPV撮影まで行った。しかし、今度はレコード会社が収録楽曲に難色を示し、リリース拒否。 2006年夏、アメリカン・アイドル出身の歌姫ケリー・クラークソンとのツアーを終えた後、Andrew W.K.やSwitchfootを手がけたジョン・フィールズをプロデューサーに迎え、バンドは再びスタジオに入って、前セッションで録った3曲を残しつつ、その他の楽曲制作を開始。2007年春、マネージメントを替えた彼らはレーベルも替えて、ようやくこの夏、2作目となる新作をリリースすることが出来た。 トニー・ホッファーとのセッションで生まれた楽曲はニューアルバムの新曲としてバンドのマイスペースのページにも上がっていたようだし、それにしては作品自体のリリースに随分時間がかかるなぁと思っていたけど、上記の過程を知る通り、こうして出来上がった作品は相当難産だったということがよくわかる。 作っては捨て、作っては捨てをして築き上げた今回の作品だけども、それだけにこの作品は会心の出来となったと思う。決してその遠回りした苦労は無駄ではなかった。シングル曲の「When Did Your Heart Go Missing?」や「Don't Come Around Again」を始めとして、粒揃いのポップロックソングが並んだという印象。 このバンドは60年代の古き良き英国ポップミュージックや70年代以降のアメリカのポップロック、産業ロックミュージックの影響を受けつつ、それらをパワーポップ化し、またスロークスのようにロックを現代風にスタイリッシュ化し、さらにそこへ地元カリフォルニアの風が吹き込んだようなオルタナティブ音楽をやっているのが印象的なバンドだったわけだけども、この作品ではさらに印象的な楽曲への強化を目指し、よりカラフルで、より器用で、洗練された方向へと向かっていったのが良くわかる作品となった。 前作も個人的に好みの音楽で単純に良かったけど、それ以上に今回は、なんていうか、恐ろしく聴きやすく、カラフルで単純に聴いてて楽しめるし、しかも確信犯的に曲が上手くアレンジされてるから、音楽によく向き合って聴いてみると、なんか自分のポップアンテナがビシバシ立つのね(笑)。「I Should've Been After You」とか「All in your head」とか聴くと、ほんとよく出来てるなぁとか思って。 正直、これまではもう少し鈍臭いバンドかなぁと思ってたけど、こんなに抜けが良く、表現力の高いアルバムを作ったということで、ちょっと誤解してたなぁと(苦笑)。まだみんな23歳とかですごく若くて、これからだもんなぁ。 |
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美しく表現された30代男の渋み。
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- 2007/10/08(Mon) -
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![]() Easy Tiger - Ryan Adams ノースカロライナ出身のオルタナ・カントリー系SSWの9作目。 前に「Cold Roses」に触れた時にも書きましたが、ほんとにこの人の多作っぷりは目を見張るものがあります。カージナルズをバックに従えて制作された「Cold Roses」(2枚組) と 「Jacksonville City Nights」、そして純粋にソロアルバムとしてリリースした「29」・・・1年に3枚(4枚分)ものアルバムを出したのが2005年。その翌年、彼は前年と同様に4枚分のアルバムを発表したいという意向を示したものの、レーベルに止められて断念。 しかし、彼はそれで黙って過ごす性分でもないらしく、この年の暮れには制作した18枚分(!)のアルバムを自らのホームページで無料公開。DJ Reggie名義の7作品、The Shit名義の8作品、WereWolpf名義、Rhoda Ro名義、Ghetto Birds名義のアルバムが1枚ずつ、ここで聴ける。ただ音源がそこにあるだけではなく、きちんと全部それぞれアルバムジャケも付けられているという丁寧さ。 しかも当然この年はツアーも普通にこなしていたし、さらにはアメリカを代表するカントリー界の大御所、ウィリー・ネルソンのアルバムのプロデュースまでも手がけていたし・・・常人では考えられない仕事量をたった1年程度でこなしてしまったライアン。 そしてその勢いは今年に入ってもとまらず、6月にこのアルバムをリリースし、10月にはライブトラックと新曲を交えた7曲入りのEPをリリース予定で、さらには彼の数ある未リリースとなっているアルバムの中から2作品と新譜に入れられなかった楽曲をまとめたものをボックスセットにしてリリースするという。 さて、ビルボード初登場7位にランクインしたこのアルバム。オンライン上に公開された楽曲は待ち前の遊び心を発揮し、ヒップホップ、エレクトロ・ミュージック、パンク、ハードコア、ハードロックと多岐に渡るタイプの音楽を披露していたが、フィジカルリリースとなった今回の作品は、変化球なしの真っ向勝負のオルタナカントリー作品だった。 聴いた感触としては、アルバムのジャケットが映し出しているように、「哀愁漂う大人の男の歌」が並んでいるという風。レイドバック色の強い豊かな演奏と深みのある歌心によって、作品はこれまで以上に円熟を極め、終始心の芯まで打つように、ゆったりと聴かせるムードの楽曲が並ぶ。 自分とそんなに年齢が変わらないのに、この滲み出る渋みを一番美しい形で表現できてしまっているのって、やはり彼の表現者として凄まじいものを覚える。大体あれだけ音楽を乱放射で排出しまくっているのに、ここにきて、ここまでの完成度の高さと説得力のありすぎな作品を普通に聴かせてしまうっていうのはとてもすごいことだし、驚きだし、誰もが思わず唸ってしまうとこだと思う。 たまたま手に入れた地元のHMVでは、このアルバムが売込み中の新譜コーナーになく、アーティストの名前のとこにひっそり1枚だけ置かれていたのに非常に驚いたんだけど(あのライアン・アダムスも落ちたもんだな。/苦笑)、それって日本人にとって、カントリーフォークのようなアメリカのルーツミュージックに馴染みが薄いからという理由に起因していると思うんだけど、そもそもこのアルバムはそんな扱いを受けるようなレベルの作品ではないと思う。普通に音楽アルバムとして、傑作として祭り上げてもいいくらいの出来のアルバム。 |
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ポップでキラキラしたスロウコア風?
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- 2007/10/06(Sat) -
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![]() God Save The Clientele - The Clientele (スタジオライブ) 英国ロンドンをベースに活動する4人組の4作目。 クライアンテールは前作時もここで紹介したのですが、そのバンドの今年リリースの新譜。前作リリース後は初期の楽曲編集盤をリリースしたみたいで、昨年にはヴァイオリン&鍵盤奏者の女性メンバーが加入して、4人組になってました。 このバンドは、囁くような歌と淡々としたノリの中でゆったり落ち着いた調子で進んでいく感じの音楽をやっていて、またそんな楽曲に深みのあるリヴァーブ(残響)感を音楽に織り込んで残すことによって、音楽をとても印象的に美しいものにして見せているというのが彼らに特徴的な部分で。終始キラキラした調子でありながら、盛り上がるとこはあんまりないのですが、それがむしろ良くて、なんとも居心地の良い音楽でして。 彼らのアルバムは部屋のBGMにして聴くと、ほんと癒されるんですよね。他に何にもいらなくなってしまうくらい。外なんかで聴いても、周りの喧騒感から自分一人だけ離れて、俯瞰して周りを見渡せる居心地の良さがあったりして。また周りはものすごいスピードで、せかせか動いてるのに、自分だけとんでもなくスローな感覚に襲われて、ほんとに不思議な感覚に陥るんだけど、それがすごく贅沢だったり、至福だったり。からっとした音楽じゃないから、晴れた日より曇った日や雨の日の方がよく似合うと思う。 今回の作品はやはりその女性メンバーが入ったことによる影響が強くて、個性的なヴァイオリンや鍵盤の音が加わることによって、よりオーガニックで響きの美しい、崇高な音楽へと向かったということでしょうか。この響きの良さやキラキラした感じ、相変わらずスロースピードで淡々と進んでいく感じ、ますます至福の感覚が増して、もっとたまらなく良いものになっているのが嬉しい。 |
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パワー爆発オヤジギターロック。
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- 2007/10/04(Thu) -
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![]() Pearl Jam - Pearl Jam シアトル・ワシントンの5人組バンドの昨年リリースの新譜8作目。 パール・ジャムと言えば、ニルヴァーナらとともに90年代前半に席巻したグランジブームの代表格となったバンドで、91年のデビュー作「TEN」ですでに1200万枚を売り上げ、その次の2作目「Vs.」では、発売週で95万枚を売り上げ、ギネス記録を塗り替える快挙。以降、これまでに彼らのリリースしてきた作品はアメリカだけで合計3000万枚、世界で6000万枚を売り上げてきた。 グランジは本国では一種のファッションとなり、社会現象と化していて、日本でもグランジのシンボルであったニルヴァーナのカート・コバーン自殺の際には、朝のNHKのニュースでも取り上げられていたくらいだったら、その程はとてつもないものだった。 僕にとっての当時のグランジは、自分の好きだったハードロック/ヘヴィメタルバンドを音楽シーンから一掃させた張本人だったため、ほとんどそれだけの理由で目の敵同然だったけども(笑)、それから10年以上も経った今振り返って冷静に分析すると、グランジは単に「90年代のアメリカのパンクムーブメント」だったこと以上に、純粋に音楽に新しいアイディアを吹き込んだものだったと、素直に理解、評価することができる。特にグランジが生んだ独特のコード展開は、これまでにない、まさしく「発見」だった。 94年のカート自殺以降、ブームは収束に向かい、多くのバンドは消滅していったが、このバンドはブームから生まれた1バンドを脱し、もっとずっと大きな意味での揺ぎ無いアメリカンロックバンドの重鎮へと成長していった。その証拠に、全国紙の新聞「USA Today」が2005年読者投票の「最も偉大なアメリカンロックバンド」にも選ばれたそうだし、この新譜でもビルボードのチャートで最高位2位にランクインし、世界でも200万枚近くの売り上げ、いまだその支持を得続けている。 ここ最近の彼らは、まさしく骨太な王道ギターロックを展開していて、このセルフタイトルとなったアルバムでは、その頂点を極めているといった内容だ。アルバム序盤からディストーションの利いたギターでぐいぐいと引っ張り、昨今のフラストレーションを爆発させるかのようにエディ・ヴェダーのボーカルはキレまくっている。今もって衰えるどころか、さらに燃え盛るようなエネルギーの凄まじさに感服する。とりあえず音量を上げて聴けば、これほど痛快、ストレス解消になるアルバムもないだろう。キャリアのあるバンドのアルバムだけに、そのバンド演奏力と安定感、説得力はお墨付き。カッコいいギターロックアルバムを聴きたいのなら、是非このアルバムは聴いておくべきだと思う。もちろん、けたたましい楽曲以外にも、例えば「Parachutes」とかのような落ち着いて聴かせる大人のチューンも存在しているので、その辺も聴き所。 |
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カナダフランス語圏のダイナミックなインディポップ。
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- 2007/10/02(Tue) -
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![]() Trompe-l'Oeil - Malajube カナダ・ケベック州モントリオールの5人組の2作目。 高校時代の友達が集まって結成されたバンドだそうで、2004年にはデビュー作をリリースして、カナダメディアの高い評価により、すぐに地元ケベックの音楽シーンの人気バンドとなったとか。そして、この2枚目のアルバムはカナダ国内のみならず、アメリカでもアルバムリリースとなり、彼らの活動範囲をまたさらに大きく広げるきっかけとなった。 まず触れなきゃいけないのは、このバンドの曲は英語詞じゃなくて、ケベック州民らしく全編フランス語詞なんですね。だから、何を歌ってるのか、1語だってわからない状況なんですけども(笑)、音楽はかなりイカしてます。 とってもポップかつドリーミーでサイケ感覚もある、それでいながらエネルギッシュなインディロックアルバムで、この重厚かつダイナミックなノリが、言葉が何語であろうが関係なく、とにかく豪快で痛快。さくさく進んでいくテンポの良さとゴージャスなサウンド、めくるめくひねくれ展開で、ぐいぐい引っ張っていかれる感じがなんとも心地良い。「La Monogamie」や「Fille a Plumes」とかのような激情的要素でがーっと盛り上がるとこなんかは圧巻。 |
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00年代ロックと文系インディポップ。
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- 2007/10/01(Mon) -
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![]() Voxtrot - Voxtrot テキサス・オースティンの5人組のデビュー作。 1枚目のEPとなった自主制作のCDRを地元のレコード店でソールドアウトさせたことに始まって、以降もEPをリリースし続け、その間もオンライン上のレビューや口コミなどにもよって、着実にファンベースを築き上げたという。そして、その最初のEPから4年、ついにデビューフルアルバムリリースにまで漕ぎ着けた。 バンドの演奏は、2000年代に入ってからのストロークス以降のポストロックスタイルのギターバンドで、そこに例えばベル・アンド・セバスチャンのような独特の文系ポップ感覚とインディ色を放ったネオアコ/ギターポップのテイストも大きく加わっているといった感じで、それをこのテキサスのバンドがやっているというのが興味深い。何も知らなきゃ、普通にUKのバンドだと思うだろう。 この独特な音楽のバランスとアレンジ感覚は個性的で印象的だし、またバンド音楽としても今時の音楽ときちっとリンクした感覚があるし、そもそも全体的にポップでメロディが明瞭でわかりやすく、結果的に高評価に繋がっているのが聴いててよくわかる内容。 インディポップらしいカラフルさを放ったアルバムで、しかもその中で聴いて覚えやすいメロディが生き生きと鳴らされているっていうのはやっぱ印象良く映るし、彼らの大きな強みだなぁ。 |
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