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こんな国で生きる僕ら。
- 2007/04/28(Sat) -
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So This is great Britain? - The Holloways

北ロンドンの4人組バンドのデビュー作。ロンドンのホロウェイ・ロードという通りにある「ナンブッカ(Nambucca)」というライブベニューで2004年にバンドを結成。バンドの名前もその通りの名前からつけられています。

バッドリー・ドローン・ボーイの新譜なんかと同じように、「イギリス第2の国歌」として愛されているエドワード・エルガー作曲の「威風堂々」の例の有名なフレーズがアルバムの導入部として引用され、初っ端からぐっと英国的な印象を強めながら、このアルバムが始まります。

そして、とりあえずまずはその我らが国「大英帝国」を強烈に皮肉ったメッセージを(笑)、それから、そこで生きる自分たちの実生活の日々や若者社会の現状を楽曲に次々と刻んでいく。英国の大半を占める労働者階級の人間としての主張や様々な思いが並べられます。

だからといって、決して「自分たちが奴隷のように扱われるこんな世の中なんかにいたくはなかった。」と不満たらたらに言い続けたいのでなく、「冒頭でもご紹介したように、こんな国で生活する僕らだけど、結局のとこは自分たちの人生を楽しまなきゃ!」ということが本心で、英国ならではの伝統的なアイリッシュ・トラッドやスカ・ビートなどを用いた、華やかで楽しい雰囲気のギターポップ音楽をかき鳴らしながら、自分たちのバックグランドや英国愛というものをこの作品で証明してて。そんな対比的なニュアンスが非常にラブリー。

このアルバムの顔にもなっている「Generator」や「Two left feet」のような楽曲では、小さなパブでのパーティで、演奏に合わせて、友達やら家族やらと一緒くたになって、踊って楽しんでいるという微笑ましい絵をイメージしてしまう。100年とか200年前のヨーロッパの話の映画でもたまに出てくるような、仕事のこととか、降りかかってるプレッシャーなんかも忘れて、大人たちみんなが手を叩きながら拍子をつけて、踊り狂ってる酒場のシーンってあるでしょ?ステップ踏みながら、くるくる回ったり・・・ああいうの(笑)。

そんな楽曲をはじめとして、終始、身近で距離感のない音楽で、楽しい雰囲気を振りまいてくれるこのアルバム。まだデビューアルバムということもあって、演奏には荒削りで未熟な部分は多々あるものの、楽曲作りにおけるメロディのフックだったり、独特の雰囲気の個性はすごく光っているので、次の作品もすごく期待したいところ。
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4枚目のマスターピース。
- 2007/04/25(Wed) -
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Traffic And Weather - Fountains Of Wayne

ここでは最早説明不要のアメリカの4人組パワーポップバンドの4年ぶり4作目。

今回は、全く音沙汰がなく、出てきた時は「再結成!」「大復活!」みたいに騒がれた前作「Welcome Interstate Managers」ほどリリース間隔の長さを感じなかったのですけど、もうあれからまた同じように4年も経っていたのですね。2年前にリリースされたB面曲集「Out Of State Plates」があり、またその中には新曲「Maureen」と「The Girl I Can't Forget」もあったしで、そんなに久々な感じがないのはそのせいなんでしょう。

今回も、相変わらずワクワクの止まらない、とってもカラフルなパワーポップソング集。これまで通り、60年代的な伝統的で古き良きポップ色が濃かったり、また初期のカーズをモチーフにしたようなキャッチーなギターポップ/パワーポップとクリスの書くようなカントリーポップソングが並ぶという基本的な体面を果たしつつも、このアルバムで最もインパクトを持つのは、80年代的な要素で、このアルバムのリーダートラックで、下4つ打ちのダンスポップ「Someone To Love」がアルバム冒頭を飾るなど、ニューウェーブなテイストだったり、電飾サウンドがあったりして、その辺のもの最も強いアクセントとして残したものにしたのがこれまでにない感じで少し意外。これまでも、例えばセカンドの曲の「Denise」とかその手のものはあったから、全くの新要素というわけではないのだけども。

アダムはこのアルバムとほぼ同時リリースで、ヒュー・グラントとドリュー・バリモア主演の映画「ラブソングができるまで」の見事な80’s的ポップクラシックなサウンドトラックアルバムを制作しているので、今の意識がかなりそっちなのかな、と思ったりはした。

前作の「Mexican Wine」や「Stacy’s Mom」に匹敵するような凄まじい曲はないけども、微妙に泣きのあるメロディとビーチ・ボーイズ的コーラスを含む「This Better Be Good」や、とってもキャッチーで、かわいらしい鍵盤のフレーズが印象的な「Hotel Majestic」など相変わらず良曲揃い。またクリスの書いた「Fire In The Canyon」のようなカントリーポップだったり、「Michael And Heather At The Baggage Claim」とか聴いてて、とっても落ち着く。彼の歌い方のアンニュイな感じがたまらなかったりして。

このアルバムに限らず、FOWのアルバムを聴くといつも思うのだけど、彼らの音楽はずっと瑞々しいポップミュージックまま、自分の中で残り続けるってことがすごいと思ってて。聴けば聴くほどどんどん馴染んでいく感覚や、そしてその馴染んでいくスピードの速さという意味でも、そんな絵に描いたようなポップミュージックをいつまでもやれるっていうのはもちろんすごいんだけど、大概のポップミュージックは得てして聞いていく回数に比例する形で消費され、劣化の一途の辿っていく中で、FOWの曲には劣化していく感覚や一過性の感覚がまるでないのがすごいと思ってて、いつまでもそばに置いておきたいタイムレスな音楽としてあり続ける凄み、その音楽の耐性力の高さはやっぱりFOWならでは、という感じで。いつも聴いても瑞々しいから、ずっと手放したくない感覚があって。

まだこのアルバムを聴き始めてたった1ヶ月だけど、このアルバムにもその手ごたえが十分あるっていう意味では、前3作と同様、傑作の域であると言えると思う。
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またパンキッシュなギターロックへ。
- 2007/04/22(Sun) -
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Make Another World - Idlewild

スコットランド・エジンバラの5人組ギターロックバンドの2年ぶり5作目。

バンド結成から10年を経て、リリースされた前作「Warnings / Promises」はもう1つステップアップして、とっても聴かせる作風の作品で、ほんとにものすごく良いバンドに成長したなぁ、と目を細めるようにしながら(笑)愛聴していたものですが、どうやら本国の評価はそれほど良いものではなかったようです。あんなに素晴らしいソングライティングのアルバムであったにもかかわらず、単純に「丸くなって、以前のように刺激的でなくなってしまった」という率直な感想だったのでしょう。そして、バンドの方もそれを肌で感じてしまったようです。デビューから契約していたパーロフォン/EMIからもドロップする結果となってしまいました。

それを受けての今回。サンクチュアリグループが再開させたという老舗レーベルのパイレコード(60年代のキンクスなどと契約してたことで知られる。)とレーベル契約。プロデューサーには、マニック・ストリート・プリチャーズのアルバムをずっと手がけ、このバンドでも2作目と前々作を手がけたことのあるデイブ・エリンガが再びプロデュースすることに。

そして作られた作品は、まだガンガンいけるぞ!と言わんばかりに、前作以前のパンキッシュなギターロック路線に回帰しつつ、前作のように聴かせるような楽曲も入れたりしていますが、全体的には1枚10曲35分であっという間に終わってしまう作品で、ノリの良くガツンと行ける印象の方が強いかな。

「Future Works」や「You And I Are Both Away」のような曲を聴くと、英国北方独特のどこか牧歌的な空気にスコットランドのバンドなんだなぁと思うとこが色々あるのですが、それはともかく、例えば「If It Takes You Home」のようにガツンと行った爆発ギターロックを聴くと、前々作にあった「A Modern Way of Letting Go」の再来のように興奮してしまうということの方がインパクトが大きくて(笑)。と同時に、リーダートラック「No Emotion」のように、現在持て囃されてる「踊れるロックソング」というのもあって、その辺、作品の作りとして、自分たちらしさを抑えつつも、ものすごく考えてるんだろうなぁ、という気がして、前作の聴かせる一辺倒だけだった作風とは対照的に、かなり戦略的なアルバムのような気がします。

これでまたぐっと盛り上がった感がありますね。日本でもリリース前に9年ぶりに再来日して、小型ライブフェス「ブリティッシュ・アンセムズ」に参加し、相当盛り上がったようだし、「アイドルワイルド、ここにあり!」というのを証明したのではないかと思います。はっきり言って、近年のUKバンドバブルでぼこぼこ出てきたような凡百なバンドなんて何のその、そもそもこんなに良いギターロックバンドはいないので、誇るべき存在であることは言うまでもないのですけど。
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正攻法的必勝パターン。
- 2007/04/19(Thu) -
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Yours Truly, Angry Mob - Kaiser Chiefs

ブリットポップを現在に受け継ぐ英国の5人組の2年ぶりセカンドアルバム。

あの時点でもめちゃくちゃ売れまくっていた前作のデビュー作「Enployment」はここでも取り上げましたが、その後もまぁ、それはそれはよく売れたアルバムとなり、結局英国だけで200万枚を売り上げる結果となりました。その数にあんまりぴんとこないかもしれませんが、日本でいうとこの400万枚、アメリカでいうとこの1000万枚級の売り上げの超モンスターアルバムとなったのです。また昨年には、ブリット・アワードで最優秀ロックバンド、最優秀グループ、最優秀ライブバンドの3部門を受賞、NMEアワードでも最優秀ベストアルバムを受賞したりもしました。

ここ最近は、2、3年前に起こったUKバンドブームで華々しくデビューして出てきたバンドが2作目をリリースするタイミングとなり、その試練を課せられている難しい時期でもあり、デビューでヒットに恵まれたバンドもここでコケることもあるかもしれないという、ある種の鬼門となっていたりするわけです。そして、いきなりデビューで国民的人気を得てしまったカイザー・チーフスもその避けられない場面となってのこのリリースでした。

多くのバンドが色々自分たちの音楽を練りながら葛藤し、デビュー以降の成長を見事に証明しようとする中、彼らの取った方法はいたって正攻法でした。

良い意味で前作の延長線上、そんなに変に緊張して、また変にひねったりすることもなく、ただメロディのしっかりした自慢のポップソングを13曲並べました、というような感じのアルバムで。だから聴いた印象、終始ポップなメロディが楽曲の中心で引っ張り続ける、ものすごく素直なイメージのアルバムで、ヒットチューンとなるような曲もちゃんと置いてあるし、聴き出したらアルバムにすんなり入っていきやすく、みんなの期待通りのものを出してきてて、その辺ものすごく優等生的。

ツアーで培ったバンドの体力もそのままアルバムに披露されて、全体的に骨太なニュアンスになり、前作にあったどこかひょろひょろとした、未熟なインディ臭いとこが減って、ダイナミックでメジャーの風格が自然と身についたものに。

無理な部分が一切なく、良い曲を書いて、自分たちの変わらない持ち味を素直に出していけば、こんな風に順調なステップアップを見せることができるんだ、という証明を1つ、軽くぽんっとやってのけてしまった。

この作品リリース後、当たり前のように、2週に渡ってUKアルバムチャート1位を獲得。途中の鬼門など何のその、素直に行って、何事もなく抜け、必勝街道をそのまま行ってしまった、という感じ。
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あの大御所とあの人たちのタッグ。
- 2007/04/17(Tue) -
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Here & Now - America

結成から37年、もう何枚のアルバム作品が出てるのかわからないほどのキャリアを持つフォークデュオの新譜。

アメリカといえば、やっぱ72年にリリースした全米ナンバー1ソング「A Horse With No Name(邦題:名前のない馬)」ですかね。昔、聴いてたラジオにたまたま流れたんですけど、曲はともかく、そのあまりにでっかく、潔すぎるバンド名に驚いて、それ以降絶対忘れない名前なんですけどね。

とってもコーラスワークが綺麗な歌を歌う人たちなんですけど、まぁ、基本的にフォークの人たちなので、「アメリカって!」とあの時思いっきり突っ込んでた自分が、まさかこの人たちのアルバムを後々聴くことになろうとは思いもよりませんでしたけど(笑)、今回ばかりは聴き逃せない理由があったわけなんです。

まず、このアルバムのプロデューサーが、アメリカの大ファンだというフォウンテンズ・オブ・ウェインのアダム・シュレシンジャーと元スマッシュ・パンプキンズのジェイムス・イハ・・・ほらね、聴き逃せないでしょ?そして、このアルバムに参加したゲスト陣にはライアン・アダムス、ベン・クウェラー、ナダ・サーフ、マイ・モーニング・ジャケットのメンバーという豪華さ。また、このアルバムに対して、アダムから2曲、ナダ・サーフから1曲、マイ・モーニング・ジャケットから1曲、楽曲提供されてます。・・・つまり、昔大ヒットを飛ばしていた大御所ミュージシャンをこういった若いミュージシャンたちがサポートしているアルバムがこのアルバムなのです。

これが聴きますと、極上のフォーク/ギターポップアルバムなのです。清々しい初夏の乾いた風が優しく窓から吹き込んでくるような、そんな作品。主役の2人のボーカルはほんとにうっとりしてしまうほど美しくて、さらには清涼感高まる非の打ち所のないコーラスワーク。親しみやすいメロディを持った楽曲ばかりで、捨て曲などは1曲もなく、最初から最後まで、ただただ優しい雰囲気に包まれ、至福の時をこのアルバムとともに過ごすことができます。

すごく晴れてるおかげで気分の良かった日に、このアルバムを聴きながら外に出かけたら、もう幸せすぎて(笑)。あれ?昨日までのネガティブなこととか、昨日までのストレスとかって何だったんだろう?って思ってしまうくらい・・・これが永遠に続けばいいのにってずっと思っていられるほど、そんなに甘くはないわけだけど(苦笑)。

この作品、2枚組になってて、もう1枚はそれまでのキャリアを総括したようなベストアルバム的ライブアルバムになっています。こっちもかなり良くて、今まで持ってたイメージを良い方に促される感じで聴けます。
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ポップパンクの祖。
- 2007/04/13(Fri) -
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Munki Brain - The Queers

アメリカ東部のニューハンプシャー州ポーツマス出身、唯一のオリジナルメンバーのジョー・クイアー率いるパンクロックバンドの5年ぶり9作目のオリジナルアルバム。

全然このバンドのことは、このアルバムを手にするまで知らなかったのですが・・・結成は82年だそうで、自主制作の7インチレコードをリリースするも、アルバム作品も出ることなく、その2年後には解散。時は流れて、90年に新しいメンバーを従えて、再結成。以降、オリジナル作品やシングルはもちろん、ライブ、初期のデモ作品、ベストアルバム等々、持ち前のDIY精神に則って、ものすごい膨大なマテリアルをリリースしており、またツアーの方も、国内だけにとどまらず、国外にも出て行って、精力的に展開しているという。こうした活動から、後続のポップパンクバンドにも大きな影響を与え続けているのだとか。グリーンデイのビリー・ジョーに言わせれば、「このバンドがいなければ、今のグリーンデイも存在しない。」と言い切ってるそうで。

近年はシンガーソングライターものとか、フォーキーなもの、ポップロックものばかり聴いてるので、こういう何ていうか、ざらついた感じの、すごくロックなアルバムジャケを手にするのはかなり久しぶりのような気がするんですけど(笑)、中身もとってもクールなロックンロールなアルバムでして、熱く、ロックな興奮状態に包まれます。

こういうラモーンズスタイルのパンクって良いですよね。歪んだギターをかき鳴らしながら、曲は簡潔にして、純度の高いポップ、そして矢継ぎ早に流れていく感じ。余計な部分や余計な間も無く、ノリ良く、痛快に13曲31分でさっさと終わってしまう。またラモーンズ+ビーチ・ボーイズってとこも多々あって、サーフロックなメロディ、そして例のコーラスハーモニーがたまらなく良い。アルバムが終わって、またすぐに再生ボタンを押してリピートしてしまう・・・ただそれだけ。
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超ポップなミュージカルショー。
- 2007/04/10(Tue) -
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Life In Cartoon Motion - Mika

5オクターブの声域を持ち、クイーンのフレディ・マーキュリーのようなオペラ歌唱が印象的なロンドンのSSWのデビュー作。

この人はかなりユニークな経歴の持ち主。まず生まれが中東の国、レバノンの首都のベイルート。お父さんがアメリカ人、お母さんがレバノン人で、5人兄弟の3番目として生まれた。彼が生まれた当時は泥沼と化したレバノン内戦の真っ只中で、その戦争はますます激化し、家族はフランス・パリへ移ります。そしてその後、お父さんが湾岸戦争時にクエートのアメリカ大使館に人質として監禁された事件を機に、ロンドンに定住。その後訪れたロンドンでの学校生活は全く馴染めず、とても深い孤独に陥った彼は、そのうち読み書きを忘れ、時にはしゃべることもできなくなったこともあったという。

しかし、この後、音楽が彼に光を当てるようになるのだけど、この孤独な少年はすごかった。9歳で作曲するのが自分の運命だと考え、企業のCMのジングルなんかを作って歌うような仕事をやるようになり、さらにはロシア人の歌の先生についてもらって、オペラ歌唱のトレーニングを積んだ彼は、11歳の時には、ロンドンのロイヤルオペラハウスで行われたリヒャルト・シュトラウスのオペラ「影のない女」にも出演してしまうのである。

時は流れて、2006年にファーストシングル「Relax (Take It Easy)」でミュージシャンデビュー。すると、フランスのダウンロードチャートやポーランドのシングルチャートでトップの座に輝く。また英国BBCのラジオのソングリストにも加えられ、後に「2007年最も期待の新人」として紹介されるようになった。

今年の1月には、シングル「Grace Kelly」がリリース。その2週間後にはUKシングルチャートのナンバー1の座に輝き、5週に渡ってその座を維持。2月に入ると、このアルバムがリリースされ、アルバムチャートでも1位を獲得。まだゴールドディスク認定に留まっているが、それもプラチナに変わるのは時間の問題だと思う。

先日触れたように、突然友人から紹介された作品なわけだけど、この独特な歌い方と他が全く真似できないような突き抜けぶりはここ最近なかった衝撃をもたらした。常識を覆すように突然変異的に出てきて、突然目の前にどかーんと大きく登場してきたといっても良いと思うんだけど、まぁ、得てしてこういうド派手な登場のしかたをされると、どうしても最初は勘繰りながら、色眼鏡的に見てしまうとかがあって、どうせこんな歌い方だし、フレディをロールモデルにしてきた人かなんか?みたいな感じにどうしても思えてしまっても仕方がないとこがあるんだけど(笑)。・・・だけど、いざきちんと何度か聴いてみると、そんな誤解が解けて、すっかり気に入ってしまってる自分がいたりして(笑)。

すごく良く出来たアルバムです。よく考え抜いて、細部にまで気の配られたプロダクションで、全体の流れもきちっとコントロールされながら計算されてて、聴く方を愉快な気分にさせてくれる。アルバムの中にある演出も、何だか1つのミュージカルのショーを見ているような、色んな楽しさのあるものになっていて。もっと単純なものになっていると、一元的にしか最初見られなかった誤解が見る見るうちに解けていったのは言うまでもない。

鳴っている音楽に一切の翳りもなくて、とにかく純粋。全然汚れてない。こういうのって、素直に素敵だなって思う。きっとその頃、闇を抱えた少年は次々直面していく現実にナイーブすぎたんだろうなって思うし、その純粋なまま、色々知識を取り込みつつ、脳内世界を広げて大きくなった彼は表現者として器用にも、刺激的な楽しさとそこから生まれる、ニコニコしてしまうような幸せのみを追求したというのは必然だったと思う。そして、ちょっとした孤独感や虚無感をもあっという間に埋めてしまうほどの痛快なポップミュージックとエンターテイメントを提供してくれるのがこのアルバムだと思う。

ほんと色々楽しくなってしまう曲が満載なんだけど、「My Interpretation」という曲が個人的に一番ぐっと来てます。とっても日常的で、親しみの沸くようなピアノフレーズから始まって、ピースフルでいて、肩の力がごっそり抜けるようなサビのフレーズがなんとも感動的。派手に♪らりぱっぱーみたいな曲もあれば、こういう曲もあるとこも良いとこかも。そういう意味でも、やる方は結構作戦練ってるのよねぇ(笑)。
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バンクーバーのパワーポップ。
- 2007/04/06(Fri) -
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Twin Cinema - The New Pornographersスタジオライブ

一昨年に出ていた作品で今さらなのですが、カナダ・バンクーバー出身の・・これ何人組なんでしょうね、オフィシャルには一応正式なメンバーとして9人の名前が書かれているんですけど、どちらかというと不特定多数集団と言ったほうがいいんでしょうか、パワーポップバンドの3作目。

97年に結成。2000年にアルバムデビュー。レーベルはニューヨークのインディレーベルで、モグワイやヨ・ラ・テンゴなどのバンドを抱えるマタドール・レコードと結んでいます。

彼らのことはセカンドが出る前だったか、出た後だったかに知って、どこかでちらほら売ってるのを見かけて、カナダでもこういうパワーポップと名乗るバンドが存在するんだなぁ、とすごく印象的思った記憶があります。その後、まさかそうなるとは思いもしなかったけど、彼らのお膝元となる街で自分が生活をすることになって、あっちでそのセカンドアルバムを買って聴いてたりもしました。ただそこではついに観るチャンスもなく帰ってきてしまったのが、今思うとちょっと心残りな感じがします。ギターポップバンドのソルティーンズもそうだけど。

このバンドはデビューからわりと評価の高かったバンドで、デビュー作もカナダのグラミー・アワード的位置づけのジュノ・アワードでベスト・オルタナティブ・アルバムに選ばれているそうだし、3枚目のこのアルバムでは、アメリカのスピン誌の年間ベストアルバムの7位にも選ばれてたりもして、特にメディアや評論家筋では、良質なインディロックバンドとして認められている雰囲気があります。

作風は相変わらずひねくれポップな前作の延長線上の路線でありながら、さらによく楽曲が練られており、もう1つ突き抜けて、このアルバムは1つのバンド音楽のスタイルをきちんと確立させてみせた秀作になってます。よく考え抜かれた、内容の濃い、すごく良いアルバム。

ポップメロディのツボをしっかり抑えていて、鍵盤のいるインディポップバンドらしい演奏、またメンバーの数が多いことが生かされて、ワイワイガヤガヤやって、ポップでありながら、またすごく華やかさがあるのが良い。ボーカルを取り分けたり、たくさんコーラスワークもあるし。音楽の中には、妙に昔の英国バンドっぽいニュアンスや表現があるのが生粋のバンクーバーって感じかも(笑)。

このアルバムで個人的に実は何気に気に入ってるのは、曲の内容やメロディの良さもそうなんだけど、ドラムの叩き方がドカドカしてて、はっきりしたものになっていて、そのビートが気持ち良く、痛快でノリの良いものになっていることかな。

バンクーバーって気候の穏やかなアメリカ西海岸の延長みたいな場所柄か、ハリウッド映画の撮影場所として盛んだったり、音楽界では、80年代からボンジョヴィやメタリカのようなビッグなロックバンドがレコーディングに使ってたり(良いスタジオが結構あるらしいし、またブルース・フェアバーンやボブ・ロックなどといったビッグネームのカナダ人プロデューサーがいたということも大きいのだけど。)、あとはニッケルバックのようなバンドがビッグヒットを重ねていたりして、メジャーレベルでのバンクーバーに対するある程度の華やかなイメージって自分の中では結構あるんだけど、その中で、トロントやケベックのような大陸の東の方から、昨今アーケード・ファイアやソーシャル・ブロークン・シーンといった話題を集めるバンドがインディシーンから出てくる一方で、西海岸からもそれらと遜色がないレベルの音楽をやってるニュー・ポルノグラファーズのようなバンドがインディバンドとして出てくるっていうのが、結構面白いとこなんじゃないかと思います。

今年の夏には、次の4作目もリリースされるというから、良いアルバムを作って、もうひと風吹かせてくれそうで、かなり楽しみな存在であります。
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30曲たっぷり。
- 2007/04/02(Mon) -
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Never Hear The End Of It - Sloan

カナダのノヴァ・スコティア州都ハリファックス出身、現在はトロントで活動する4人組パワーポップバンドの8作目。

結成は91年。92年のカナダツアーをしていた頃にゲフィンレーベルのディレクターに目が留まって、契約。同じ年、自主レーベルから「Peppermint EP」をリリースし、翌93年にデビュー作となる「Smeared」をゲフィンレコードからリリースし、本国ではゴールドディスクを獲得する。

94年には2作目「Twice Removed」をリリースすると、その作品はカナダの国民的音楽アルバムへと大化けすることになる。その証拠に、カナダの月間音楽誌「チャート」の96年、2000年、2005年に行われたベストカナディアンアルバム50では、スローンのこのアルバム、ニール・ヤングの「Harvest」、ジョニ・ミッチェルの「Blue」とずっと変わらず、上位3枚にランクインされており、また96年、2005年に至っては両年共に、「Twice Removed」はトップ1に選ばれている。

しかし、ゲフィンよるアメリカでのプロモーション支援を積極的に受けられなかった。それは、カナダでは「カナダ史上最高傑作」と謳われ、好セールスを記録する一方で、アメリカではほとんどその音が聴かれないという摩訶不思議な現象を生み出してしまう。これは当時、アメリカではグランジロックが大流行していて、それに対して彼らの音楽はあまりにポップでメロディックすぎたということに起因しているらしい。

当然のごとく、ゲフィンからドロップした後は、バンドはいったん活動を休止するも、再開後は3作目の「One Chord to Another」を制作し、自主レーベルから96年にリリース。その後、以前ゲフィンにいた人物が立ち上げたレーベルと契約すると、アメリカや日本でも97年に同アルバムがボーナスディスクを付けた状態でリリースされる運びとなった。60’sライクで、さらにポップ感を増したこのアルバムは、日本のギターポップファンたちの心をもぐっと掴み、一気に知名度を上げていった。ちょうどこの頃、ウィーザーを始めとするナードでポップなメガネロックバンドに人気が出始めてたので、その波に乗ったとも言えるかも(笑)。

程なくして契約していたレーベルの運営が上手く行かなくなり、契約を失うも、本国のユニバーサルレコードと契約。98年には、意気の良いギターロックを封じ込めた4枚目「Navy Blues」をリリース。この後には初来日も果たした。その後、2回来日公演を行っている。

その後も、着々アルバムリリースするも、前作からは日本盤リリースも出なくなり、輸入盤でしか彼らのアルバムを聴くことができなくなってしまったのが残念。

このバンドはメンバー全員ソングライターであり、自分の作った曲は自分で歌うというスタイル。と同時に、ライブ中ではドラムを含めて、楽器チェンジするという器用なバンドだったりする。音楽は、ビートルズから始まる古き良きポップスタイルを強く継承していて、そういったポップメロディとコーラスワークの多さが印象的で、また70年代的なギターロック表現も多いバンドだったりする。

彼らの音楽に対する端的な説明としては、それ以上でもそれ以下でもなかったりするのだけど、やっぱりこれだけの長いキャリアを築くのはそれなりの理由があるのだろうと思う。

それは何かと言えば、僕のイメージから言えば、バンドを始めてから一貫として変わらず、忠実に良い音楽、良い楽曲を作って、演奏していこう、というその根っから真面目な想い一点だったりして、それは毎作、毎曲、我々リスナーに伝わってくるのです。とってもオーソドックスなとこに終始していて、全然ド派手な部分も聴いて飛び上がるような実験的な部分もないんだけど、どの曲にもきらっと光る場面が必ず登場する・・・とてもシンプルなことだけど、これを維持していく凄みというのかな。

デビューから全くメンバーチェンジもなく、同じ4人で作品を作り続けて今回で8枚目、しかも今度は一気に30曲(笑)。全曲1枚にまとめられているんだけど、それって実質2枚組の分量なわけで、いくらそんないつも優等生なスローンでもどこかで息切れしてるんじゃないか、とか、退屈な部分って絶対あるって普通に思うんですけど、これがいざ蓋を開けたら、全然問題なかったんですよね。

曲間をあえて詰めて、聴いた感じ1つの流れのように見せた感じの作風で、もしや長尺アルバムをその調子で行くならば、終盤になってちょっと大仰なフィナーレでもあるのかな?と思いきや、全然そんなことなくて、いつも通りの調子の素朴な感じで淡々と終わっていくんですよね。それもなしで、ただの曲集のまま、終わっていく。そこがすごいなって思って。そういうギミックとかなくても全然怖くない、だって全曲いつも通りの僕らの光った曲ばっかなんだから、とでも言いたげな・・・。実際、聴いてて、途中でダレることもなかったし、彼ららしい良い場面やポップなメロディがたくさんあって、それだけでオッケーだった、みたいな。

きちんと説得力を保ちながら、ずっとこうやってマイペースに作品を重ねていくんだろうなっていうことを改めて再確認できた作品だったのでした。
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