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ポールよりポールらしく、ポールを超えた瞬間。
- 2006/03/31(Fri) -
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Emitt Rhodes – Emitt Rhodes
(リンク先は1st〜3rdまでを編集したもの。Tr.1〜Tr.12は今回紹介してる作品全曲。)

今回は新作ものではなく、古い作品を。元メリーゴーラウンドのリーダーだったエミット・ローズが1970年に発表したソロ1作目。

この人のこのアルバム聴いて、まず誰もが思うのは、他人にこれを「ポール・マッカートニーの昔のソロ作だ。」とと言ってしまえば、7割、8割方信じてしまいかねないほど、まるでポール・マッカトニーということ(笑)。

そして、このアルバムに付いていた帯のタタキがこれ。
「“新しいポール・マッカートニー”と絶賛されたエミット・ローズがメリー・ゴー・ラウンド解散後に発表した記念すべきファースト・ソロ。「ビートルズ・ファンがマッカートニーの初ソロアルバムに期待していたのは、これだ!」とまで激賞されたブリリアントなポップ名盤。エンジニアは元ミレニアムのカート・ベッチャーとキース・オルセン。全米スマッシュヒット「恋はひな菊」をフィーチャー。」

・・・ということで、当時は「ワンマン・ビートルズ」または「小型マッカートニー」などというキャッチフレーズもいただいていたとか(笑)。

ポール・マッカートニーのファーストソロは、ビートルズがほとんど終焉を迎え、混迷を極めている中、自宅のリヴィングで4トラックのレコーディング機材を使い、1人で録音したもの。つまり、今では当たり前のように行われている、当時ではまだ珍しかった「宅録」の作品だったんですね。ところが、これがメディアからは非常に評判が悪かったんだそうです。

バラバラになるビートルズの他のメンバーを引き止め、ある意味1人奮闘して誉れ高き「Abbey Road」を作ったポールが、なぜデモテープのようなレベルの低い録音技術で、彼にしては地味な楽曲を並べ、それを作品としてリリースしたのか?ということだったんですよね。ビートルズやアップルの問題を山ほど抱えて苦しんでいた当時の彼は、このアルバムを作ることで精神的なバランスを保っていたわけなんですけど、しかしながら、あくまで世間は「ビートルズのポール」だったわけで、その理解をすぐ得るのは難しかったわけです。

で、そんな背景がありつつ、同じ頃に出たのがこのアルバムだったようです。決してエミットはアメリカ本国でも有名なミュージシャンだったわけではなかったと思うんですが、一部の熱烈な音楽ファンを沸かせていたようです。作品に付いているライナーノーツには、当時日本でもFM東京の番組なんかでは、彼の曲が結構よくかかっていた、と書かれています。。

彼は、イリノイ生まれ、カリフォルニア州ホーソーン育ちの青年だったそうです(ホーソーンはビーチボーイズ誕生の地。)。エミットは中学生の頃からバンド活動をしてたようで、そんな時間を経て、彼がリーダー&メインソングライターとなり、結成したのがメリー・ゴー・ラウンドというバンドだったそうです。このバンド、最初はなかなか上手くいっていたようで、当時まだ新興レーベルだったA&Mと契約して、67年にシングルのいくつかをビルボードのシングルトップ100内に送り込み、そのすぐ後に出したアルバムもなかなか健闘し、全米トップ200内に入ったというから大したもの。しかし、メンバーとの不仲から2作目のアルバムを作ることなく、解散してしまったとか。

その後の彼は、4トラックレコーダーを自分で買って、それを自宅のガレージに置き、1人でこつこつとレコーディング。彼は、学生時代はドラマーだったし、解散してしまったバンドではギタリストで、鍵盤の方もこの頃に練習をしてたみたいで、1人で楽器は一通り全部できたみたいです。ポール・マッカートニーと同じように宅録して、そこでできたデモテープをレコード会社に持ち込んで、認められてソロデビュー。バンド時代以上の評価をこのアルバムで得ることに成功します。

しかし、その後は2枚の作品を同じとこからリリースしていたのですが、なかなか思うように上手く盛り上がっていかず、さらにはレコード会社との関係が上手くいかなくなっていったことから、レーベルを離脱。それから出されたソロレコーディング作品は今現在までありません。今から数年前、新作が出るという話もあったそうですが。

僕はポールの、あの超マイペースな感じのファーストって結構好きなんですけど、確かにこれをあのリリース当時聴いたら、「何でポールはこういうのをやんなかったのかなぁ。」と思ったかもしれないですね。

この作品をなんとなく聴いて、エミットをすごいと思うのは、決してポールのコピーで作った作品だからなのではなく、自らのソングライティング力と音楽への熱意、技術で、作品全体をあの偉大なソングライターのポール・マッカートニーと比べられてしまうほどのレベルまで引き上げてしまったということだったと思うんですよね。ただ、幸か不幸か、彼の声はポールの声に結構似てるとこがあるし、音のハーモニーの重ね方、ポップメロディへの考え方が似通ってしまっているために、その比較が免れなくなってしまった、といったところでしょうか。ポールがある意味、意気消沈していた頃とはいえ、この時点ではポールよりこういう形で勝っている作品が存在していたとは思いもよりませんでした。

なんか久々に、昔の音源を聴いたんですけど、やっぱ昔のレコーディングサウンドに共通する、何か心落ち着く聴き心地はたまんなく良いですね。このもこもこした感じの丸みのあるドラムサウンド(笑)や味のあるファズギターとかがもうね、深夜1人でひっそりと、どっぷりと味わって、深夜特有の周りの深い静けさと一緒に溶け込んでいってしまいたい!みたいなね(この感覚ってわかる人ならわかると思うけど。/笑)。・・・その上、極上のポップメロディ&ハーモニーですから、いとも簡単にやられてしまいます。参りました。

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再び黄金期到来かもしれない。
- 2006/03/27(Mon) -
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The Life Pursuit - Belle And Sebastian (Myspace)

英国国営放送BBCの投票で、数々の偉大なバンドや旬なバンドを押しのけ、ベスト・オブ・スコティッシュ・バンドにも選ばれた、グラスゴーからのレトロな音楽集団、ベンル・アンド・セバスチャンの7作目。ラフ・トレードへの移籍後2作目で、前作の「Dear Catastrophe Waitress」から2年4ヶ月ぶりのリリース。今年でバンド結成10周年だそうです。

ベルセバは・・・まぁ、グラスゴーの多くのインディバンドがそうなのですが、華やかなロンドンのメインストリームと一線を画すように、地元を中心に独自の音楽文化を創造していて、彼らもそういう独自のコミュニティの中で活動していたバンドの1つだったんですよね。あくまで地元を根ざしたようなアマチュアのような活動を行い、そんな良い意味で閉鎖的な、密室度の高い空間の中で、独特の個性を維持し、それを放っていたのです。

彼らは60年代以前の古き良きポップスを中心にしながら、それらをネオアコ風に表現しつつも、同時に文学的な匂いも音楽に刷り込ませ、聴き手をいつでもベルセバ特有の白日夢の世界に連れて行ってくれました。そして、親しみやすくて、キラキラしたポップメロディに、一度ハマってしまうと抜け出せなくなる癖の強さが、傑作「If You're Feeling Sinister」や彼らの代表作とも言うべき「The Boy With The Arab Strap」などへと繋がり、大きな賞賛へと繋がっていきました。

近年の彼らはさらなるバンドのステップアップや規模拡大を望むようになり、これまでずっと内向きだった活動スタイルから外向きの活動へ、よりプロフェッショナルな方向転換していきます。それを象徴したのがラフトレードへのレーベル移籍であり、外部からの大物プロデューサーの起用でした。それから出されたアルバムの内容の方も、ベースとなる部分ではベルセバ節とその音楽スタイルを貫きながらも、今までにないくらいのカラフルさとポジティブさが前面に打ち出され、今までの翳りの強い世界観を持っていたベルセバのイメージを変えたのでした。さらには、これまで大げさなツアーもしてこなかったバンドは積極的にライブ活動をするようになります。

そうした事の流れの中でリリースされた今回のラフトレード期の2作目。7枚目にして初の海外レコーディング。地元グラスゴーを抜け出し、恵まれた陽気を望めるロサンゼルスでの録音。プロデューサーはベックやエールのアルバムで知られる(うち的にはスリルズのファースト、アイドルワイルドやスターズの新譜などで知られる)トニー・ホッファー氏。

多少暗さを取り戻した、との話ではあったんですけど(LAレコーディングにもかかわらず?)、相変わらずレトロなトーンを保ちつつも、彼ら独特のキラキラしたポップメロディに、彼らにしてはやけにノリも良いっていうところでわかりやすい。さらにその先を突き詰めて、音楽の幅も広げていったという。全体的にビート感がまたさらに増したかな。ダイナミズムのある曲も結構あったりするし、今まで聴いたこともないような豪快なギターソロが入ってたりするし(笑)。ツアーでバンドの体力がついたこともあるんでしょうか。

全曲、素晴らしいですね。捨て曲一切なし。力強いポップメロディ満載で、間違いなく年間ベスト10級。ソフトロックやらソウルミュージックやら80'sっぽいニュアンスやら、色々それぞれの楽曲で細かく組み込まれているのだけど、それらをほとんど意識させず、わかりやすくも、徹底されたポップミュージックの美しさにただひたすら感嘆すること受けあい。そして、「やっぱベルセバだよな〜。」と思わせてくれるような世界観とその色をきちんと見せてくれてることが素敵。また癖になって抜け出せなくなる。

「わかる人だけわかる不思議な世界」を超えて、「多くの人に親しまれるベルセバワールド」に変化を遂げていることが、今回の作品でもまたさらに如実に表れています。しかも完成度をぐんと増した。

こりゃ、6月の来日公演は楽しみだね。
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一点の曇りもなく弾けるティーン向けアイドルパワーポップ。
- 2006/03/21(Tue) -
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Greetings From Imrie House - The Click Five (Myspace)

一昨年の夏に大物を次々呼んでロック・オデッセイフェスをやったウドーが今年、ついに本気モードになり、ウドー・ミュージック・フェスティバルという名の夏フェスを敢行するようです(以降3年間はとりあえず。)。呼ぶミュージシャンも、老舗にして呼び屋の最有力者のウドーらしく、キッス、サンタナ、ジェフ・ベックなど、フジやサマソニでは実現が難しそうな大物を呼びまくり。そして、その大物たちの名前と一緒に並んでるのが、このクリック・ファイブ。んで、このアルバムが去年夏に出た彼らのデビュー作。

このバンド、日本では現在もほとんど無名の存在なのですが(日本盤も今のとこなし。)、本国ではラジオ等でかかりまくって、アルバムチャート15位にランクイン、シングルはiTMSではプラチナムを獲得までしてるメジャーバンド。ウドー的にも、ただ大物ばかり並べるのではなく、こうしたメジャー感がありながらも、日本では無名、というこのバンドを呼ぶのに、比較的願ったり適ったりだったのかもしれません。

彼らは、ルックスも一応(笑)美形揃いの、いわゆるアイドルバンド的な存在で、彼らが自分たちの音楽を「New School Power Pop」と言っている通り、聴き手の対象が基本的にあからさまにティーン相手という感じの音楽なんですね。彼らがオープニングアクトとして付いたメインアクトも、アシュリー・シンプソンやバックストリート・ボーイズといった人たちで、これまたあからさま(笑)。

僕は、彼らのことをデビューしてわりと間もなくに、初めてそういう人たちがいるということ知ったわけですけども・・・・というのも、この彼らのデビュー作にファンテンズ・オブ・ウェインのアダムが2曲ほど楽曲提供していたことから知ったんですね。・・・へぇ、アダムはこんなお仕事もしてるのか、と。アブリル・ラヴィーンとお仕事をしたブッチ・ウォーカーなどのことなんかも頭に過ぎりながら(笑)。

まぁ、きっと彼らのマネージメントがものすごく力を持っているからなんでしょうが、キャッチーかつパーフェクトなパワーポップソングを書いてくるアダムの楽曲提供の話題以外にも、キッスのポール・スタンレー御大との共作曲があったり、70’s~80’sに大きなセールスを残したポップロックバンド、カーズのギタリストだったエリオット・イーストンがギターで参加してたり、プロデューサーもエイミーマンやハウウィ・デイのようなSSWやジゴロ・アンツなどのパワーポップバンドとも仕事をしたことがあるマイク・デニーン・・・・ってわけで、いきなりものすごい人脈力で裏方人選し、完璧な商品パッケージをしてるんですよね。そして前述の通り、いきなり売れっ子アシュリーやバックストリート・ボーイズのオープニングアクトを勤めるに至っているわけでしょ?凄まじいよねぇ(笑)。

最初ちょこっと試聴した時は、個人的にはバックストリート・ボーイズのような前年代アイドル的なニュアンスが音楽にも表れてるのが、2005年の現在となっては今さらっぽくて、鼻に付いて、その時は普通にパスしてて、そのことにも今まで一度も触れてこなかったんですが、いざ後でちゃんと全部聴いてみると、そんなに悪くはないな、と。

むしろ、しばらくリピートして聴いてると、とりあえず全部一度聴いて、いきなり全部聴いて覚えられるわかりやすいポップメロディだし、ギターもドライブしてるし、ボーカルハーモニーも利きまくってるし、全編ノリノリで通してるし、痛快爽快で良いんじゃないの?みたいな。聴いてて楽しいし、アルバム1枚40分足らずで、つまんない時間もなくてずっとノリノリで、途中で集中力も一切途切れることもなく一気に聴けてしまうし。あれだけ狙いに狙いまくった全力バックアップだから、ほとんどマイナス点なんて見当たらないし。あとは女の子たちがそこに付いてくるかどうかでしょ?(笑)これなら、日本でちゃんと出してもそれなりに売れると思う。アメリカみたいにラジオとかでかけまくってね?これから夏場に向けて良いんじゃない?特にこういう音楽は。

特筆すべきはやっぱシングル曲「Just the girl」で再び大当たりさせたアダム。アダムにハズレはない。型通りのパワーポップを、今の人でも刺激的に、笑顔で聴かせられる魔法みたいなものを持ってる。それだけでも、このアイドルバンドのアルバムを手に取る価値はある。それから全編聴いても、多分全く不快になることなく、楽しくずっと聴いてられると思うし。若さいっぱい、ノリノリだと思う。個人的にも彼らを支持して、オススメしたいと思う。特にパワーポップファンに向けては。アイドルバンドだからって別に躊躇することはない。彼らが書いた「Time machine」とか良い曲だと思うし。

きっとこのバンドはそのうち自分たちのクリエイティブ志向が高くなるに従って、こんなアイドル路線みたいな売り方に次第に嫌気が差してくるとは思うけど、とりあえず、過去の偉大なアイドルポップロックバンド、モンキーズやベイ・シティ・ローラーズ(例えが古っ!)のようになって、天下を取ってもらいたい・・・いや、ワンダーズの夢実現かな?(笑)
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これはポップスの教科書。
- 2006/03/15(Wed) -
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Solid State WarriorRoger Joseph Manning Jr. (Myspace)

・・・・これは僕にとってはかなり危険なアルバム(笑)。もう言ってしまう・・・・今年の僕のベストアルバムはこのアルバムです。決定。誰が何と言おうとも間違いなく。最も偉大な西海岸バンド、レッド・ホット・チリ・ペッパーズがこれから2枚組で全力でかかってこようが、何しようが(笑)。過去5年のフェイバリットアルバムを並べても、このアルバムが勝ってしまうかもしれない。なぜなら・・・ロジャー・マニングJr.のアルバムだったから、ということかも。正直、ここまで徹底して、凄いとは思わなかった。久しぶりに、生きてて良かった、と思ってしまったくらい。彼と同時代に生きてたことに、感謝すらしてしまう。

ロジャー・ジョセフ・マニングJr.は先日も触れた通り、90年代の最初の4年間、ジェリーフィッシュという、あの当時ではかなり異質のポジションにいたポップフリークバンドの音楽的中心人物の一人でした。もう一人の中心人物、アンディ・スターマーとともに、時代の片隅で、偉大なポップミュージック作品を作り上げていました。

彼らの音楽は時代の流れに沿っていた音楽ではなかったので、彼らが活動していた短い4年間の中で決して人気者とはなることなかったのですが、その内容の濃い、圧倒的な極上のポップミュージックで、彼らと同様に多くのコアなポップフリークたちを驚嘆させ、彼ら解散後も、ファンはしばらくその影を追うという作業に追われることにもなりました。私たちにとっては、そのくらい影響力の強い音楽でした。

ロジャーは、バンド解散後10年間、インペリアル・ドラッグムーグ・クックブックといった自身のバンドでジェリー・フィッシュとは違う、新たな挑戦をしたり、ベックやエールを始めとした、多くのバンドの裏方ミュージシャンとして能力を発揮し、常に忙しくしていました。

そんな豊かで自在な才能の持ち主でありながら、意外にも彼がソロアルバムを出すのは今回が初めて、ということで、久方ぶりに狂喜乱舞しているわけですが(笑)。

今回のアルバムは、特にアルバムを作ろうとして作られたものではなく、過去5年くらいの間で作られ、いつか出るかもしれない自分のソロアルバム作品のためにとっておいた楽曲が、アルバム1枚に当たるくらいの分量になってきたので、それらを編集して出した、という感じのよう。彼は打楽器なども含めて、一人で全ての楽器をやれるマルチな人で、一人で全部レコーディングして、プロデュースし、自分の好きなように楽曲完成させることが可能なので、こういう次第になったということでしょう。

聴く前当初は、ロジャーのソロアルバムということで、正直何を期待していいのかわからないとこもあったんですよね。そこにアンディがいないわけだから、ジェリーフィッシュではないわけだし(しかもそれも10年以上前のこと。)、これまでの過程から見ても、どういう音楽で来てもおかしくなく、意表を突いてくることもあり得るので、どうくるのか、期待値はマックスであるから、楽しみでもあり、逆に怖くもあり(笑)。

そうこうしてるうちに、彼はオンライン上でアルバムをダウンロード販売し始めます(無料で3回まで聴くことができます。)。そこから聴いた人たちから漏れた感想が、「これまでのジェリーフィッシュ以後の作品のどの作品の中でも、最もジェリーフィッシュに近い音。」・・・これを聞いて、期待値がさらにぐっと増え、振り切れていきました(笑)。

しばらくすると、日本のポニー・キャニオンとのレーベル契約が成立し、日本盤リリースの方向へ。幸運にも日本のファンはCDアルバムで聴く機会を得ました。さてどうなるか・・・。

これは寝た子を再び起こしてしまいました(笑)。アンディには悪いけど、ジェリーフィッシュの3枚目と言ってもいいかも・・・そうではないと言っても、まさしくジェリーフィッシュサウンドの本流を受け継いだアルバムでして、全体的に様々な楽器の音がポップに飛び交うファンタジックなサウンドで、それらが歌と一体となって重厚にハーモニーを奏でていきます。凄まじいまでの一人多重宅録。圧倒されまくり。これを一人で全部やったの?すごい!!本物はやっぱ本気出すと凄いよ!!しょっぱなから興奮は絶頂へ。

3曲目に入り、ロジャーの少年時代を歌った「Wish it would rain」。冒頭から三連符で叩くピアノと歌詞のかわいらしさが印象的な楽曲。ほんのり軽快でコミカルなタッチで描かれてる。そして聴き進むうちに、重厚かつ美しい、最高にスウィートなボーカルハーモニーが感情的に聴き手を刺激してきます。・・・・あー、もう駄目。体の力も全部抜けきってしまう。しかも、なんだかわかんないけど、もう凄すぎて感極まってきて泣けてくる。もうこれを超える音楽は自分にはないかも・・・自分が昔から夢に見てずっと探し求め、絶対にあり得なかった100%の音楽の世界はここかも・・・・そんな聴き心地でした。

この曲に関わらず、全ての曲で夢心地。前述の曲以上に冒頭から重厚なボーカルハーモニーを絡めて、古い御伽噺的演出をする「Sandman」、子守唄的演出の「Sleep Children」、完璧なポップソングのお手本ともいうべき「What you don’t know about the girl」や「You were right」、ディズニーっぽい感じもある映画サウンドトラックのような「Gragonfly」、楽曲の冒頭のピアノ弾き語りでの繊細で美しい歌声(少しカーペンターズのカレンっぽい??)とおセンチなメロディが印象的にアルバムのラストを飾る「Til we meet again」など。

ほんとに古き良き伝統的なポップスをこれでもかというくらい、メロウかつ上品に、ファンタジックテイストで、自分のアルバムに封じ込め、自作自演していってる感じ。そんな徹底された姿勢のおかげで、このアルバムは「ポップスの教科書」というべき存在のアルバムに仕上がっています。
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春風に乗ってやってきたフランスからのスウィーツ。
- 2006/03/08(Wed) -
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As Found - Fugu (Myspace)

建築士としての顔も持つフランス人、メディ・ザナード。その彼のプロジェクト、フグの2作目。「フグ」とは、あの日本でよく見られる河豚のことで、たまたまどこかで見て、その姿に強く興味を惹かれたそうで、アートに興味が強いメディのこと、あの独特な形をした魚に興味を持つのは至極自然だったのかもしれません。

彼が音楽キャリアは意外にも長く、もう10年にもなるとのこと。数枚の7インチやEPのリリースを重ね、ついに彼の最初のアルバム作品「Fugu 1」が出たのは今から5年前。ステレオラブのレティシアやフランスに住む英国人シンガーソングライター、ジョン・カニンガムなどをゲストに迎えながらも、プロデュースなど全て自分の手でコントロールし、「Smile」よろしくとばかりに、完璧なバロックミュージックで「なりきりブライアン・ウィルソン」だった彼(笑)。

今回も一人で1年半もかけてこつこつ作っていたそうですが、次第に行き詰っていった末(前作もそうだけど、基本的に彼はちょっと困った偏執狂癖があるのかも。/笑)、数年来の友人だったタヒチ80のメンバーに助けを求めたところ、彼らは快くプロデュースやバックバンドとしての役割を担ってくれ、全面バックアップしてくれることになり、アルバム完成へと導いてくれたそうです。

大きな貢献を果たしたタヒチの面々からは「このアルバムは僕たちの4枚目の作品と言っても良いかも。」とその作風と音楽の良さを大絶賛(若干、自画自賛含む?/笑)。・・・そんなコメントもこのアルバムの日本盤の広告の真ん中にでかでかと載っていて、売る側の意図も見えてくるようでちょっと可笑しかったり(笑)。

まぁ、このタヒチの貢献は実際、このアルバムのレコーディングスタッフであったこと以上に大きかったと思う。去年6月のタヒチの来日公演では、メディはオープニングアクトとして呼ばれ、それまで全く名前が知られることのなかった日本のタヒチのファンに向かって、素晴らしいピアノ弾き語りと妙に関心を惹くプロジェクト名を披露することで(笑)、大きなインパクトを与えたのです。当然、あのステージは日本のレコード会社にもアピールするショーケース的な意味合いもあっただろうし、その後、見事レコードディールを獲得し、リリース後はさらにそこで演奏した会場外の人たちにも広く名を知らしめることになったわけで、フグが日本で大きなファンベースを持っているタヒチと組んだことは間違いなく大正解でした。

しかしながら、結局最後に試されるのは、彼が音楽で何をやっているか、どんな曲を書けているか、であって、ここまで話が大きくなったのも、聴いてる人に「これ、いいね。」って思わせれる説得力があったからで。

今回の作品では、以前までの徹底的なバロックロックへの執着から離れ、よりシンプルになり、聴いていてさらっと軽やかに流れる暖かい春風を感じさせるような、上品で丁寧な桜色ポップスへと姿を変身させました。カラフルなポップメロディを武器にして、軽く走っていくようなライブ感もきちんと抑えた作品。これからの季節聴くには、リラックスした、素晴らしいBGMになってすごく良いかもしれません。

聴いてて、第一印象はとにかく、「肩の力が随分抜けて、良い感じになったね。」ということ。そして、前作以上に明らかに前向きに、自信をもって大好きな60’s&70’sポップスを現在の音でかき鳴らしています。

今回は意図的に無駄な部分はそぎ落とし、もっと自分が伝いたい音だけをしっかり強調させてみたという感じで、メリハリと音の輪郭もはっきりしてきて、良い意味ですごくすっきりしてて、そこら辺がとても好感触。かといって、前作のようなサウンドへの執拗なまでの思慮深さが今回は薄れているのかというと、全然そうでなくて、相変わらず、ものすごく丁寧に音のハーモニーやアレンジが施されてるとこがこの作品での大きなポイント。特にアルバムの後半はそういうアレンジ力が問われた楽曲が多い。「好きな音楽への拘り」というものが窺えます。

この人も結局のところ、目指すとこは究極のポップ職人であり、伝統的な手法を受け継いだポップミュージックアーティスト。その思いを作品の中で試行錯誤させながら、徐々に今の形に到達できた、という達成感は聴いてる私たちにも伝わってくるような気がします。彼はそこへ向かうべく向かい、今回でまた大きな成長を遂げたんだと思います。

正直、聴き始め、アルバムの序盤からこんなに爽やかなバンド然としたサウンドを聴くことになるとは思ってなかったので(笑)、ちょっと意外だった部分もあるんだけども、でも、あまりに嬉しい意外だったかな。

それに捨て曲がないのが、この人のソングライティング力を証明してるし、この人のピアノの鍵盤から鳴らされるメロディも力強く、エレガントに響いています。タヒチのオープニングアクトで観た弾き語りのステージはやっぱり本物だったんだね。
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抜けの良いカリフォルニア産ピアノロック。
- 2006/03/04(Sat) -
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Everything In Transit - Jack’s mannequin (Myspace)

サムシング・コーポレイトのピアニスト兼ボーカリスト、アンドリュー・マクマホンのサイドプロジェクト、ジャックズ・マネキンのデビュー盤。

最近よく見られる、ピアノがより中心に置かれたロックバンドとしてのポップロック、またはエモロックの先駆け的な存在とも今となっては思えるサムシング・コーポレイトがデビューしたのは今から4年ほど前。今でも若いと思うのですが、そのアルバムが作られていた時は、まだアンドリューも20歳にも満たず、当時はとにかく若いなぁ、という感じで、バンドショットや「If you C Jordan」のハイスクールライフを背景にしたPVなんかを目にすると、余計にその印象を強めていました。

彼らの登場は非常に新鮮で刺激的でした。ピアノの鍵盤の音がここまで網羅されたロックが、色んな先入観から、若者向けの音楽として刺激的でホットな音楽になる、などというのは、彼らが出てくる前まではいまいちきちんと想像できなかったわけで・・・でも、彼らはカリフォルニアのドライで開放的なニュアンスと、彼らの実年齢に伴って溢れる若々しさと共に、ピアノロックを痛快に打ち放って、若者たちを対象に真正面から感情的にアピールしてきたんですよね。そこが非常に新鮮だった。

今や「エモ界のベン・フォールズ」などとまで妙な肩書きまでいただいちゃってる(笑)、そのバンドのメインソングライター、アンドリュー・マクマホンへの彼らファンからの評価はやはり非常に高く、その彼がこのジャックズ・マネキンというソロプロジェクトになるとどうなるのか?というのは、当然気になるところでしょう。

そもそも、彼がこのプロジェクトを始めたきっかけは、四六時中メンバーと共にし、3年もの間忙しくしていたバンド活動から生まれたストレス解消だったそうで(苦笑)、実際、特にバンドの2枚目とこの作品の色を比べると、こちらの方が明らかにポジティブに「抜けた音楽」をやっていて、そこら辺、聴き手のこちら側も前向きに聴いていけるっていうのが、まずもってこの作品の一番良いところだと思います。そんなんで、バンドよりもこのソロプロジェクトやっていった方が良いんじゃないの?と思わせちゃってるとこも、実はちょっとあります(笑)。

これを聴いていて興味深いのは、彼が一人で何やっても許される状況の中でも、奇を衒わず、これまでの本隊と同じように、全編においてディストーションギターもしっかりフィーチャーされたロックバンドサウンドを再びここでもやってるとこで、彼はこういうスタイルでやるのがとにかく大好きで、他の方法の選択肢など考えもしなかったのかな?と思ってみたり。引き続き、今までやってきた好きなことを、バンドではできなかったことも含めつつ、そのまま先を追求していったっていう感じなんでしょうね。

先ほども書いたように、このアルバムの良さは、聴いてて終始気分的に抜けが良いとこで、西海岸的な乾いた感じと開放感、それにメロディの際立ちがこれまでに増して一層ポップに、メロディアスに利いていてとても分かりが良く、流麗に鳴り響くピアノの旋律に身を委ねることもしながら、一緒にシンガロングしたくなる楽しさもあって・・・まぁ、青春ロックを大満喫って感じで(笑)。

音楽の途中には、ムーグの音が入ったり、アコーディオンや木琴などの音もちょこちょこ入っていて、音楽にアクセントをつけているあたりも音楽を楽しく聴かせている要因かもしれない。

ちなみに、ゲストドラマーとして、半分以上の楽曲で、モトリー・クルーのトミー・リーが叩いています。
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